北欧フィンランドの元首相、アレクサンダー・ストゥッブ氏(53)がヘルシンキで産経新聞のインタビューに応じた。ストゥッブ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻に至った欧州の安全保障環境を「新たな鉄のカーテン」が下ろされたと表現。フィンランドで北大西洋条約機構(NATO)加盟を求める声が強まっていることについて「ロシア(の脅威)がフィンランドを加盟にかつてなく近づけている」と語った。
2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合の直後に首相を務めたストゥッブ氏は「当時、(ロシアの脅威が)ここまで深刻になるとは予想していなかった」と発言。フィンランドのNATO加盟は今や「『もし』の話ではなく『いつ』の問題だ」とし、「政府はタイミングを冷静に判断して政策を変更しなければならない」と述べた。スウェーデンの加盟も「最終的には実現する」とした。
ストゥッブ氏は、ロシアがウクライナ侵攻前にNATOの東方不拡大などを求め、欧米が拒否し続けた構図について「ロシアと西側諸国の関係を完全に分離させる新たな『鉄のカーテン』が下ろされた」と懸念を示した。「欧州の安全保障は根本的に変容し、歴史は大きな転換期を迎えている」と述べた。