露軍攻勢続く キエフ包囲へ準備 7日に停戦再交渉も

ロシア軍の砲撃を受け、煙が上がるウクライナ南東部マリウポリの街=4日(AP=共同)
ロシア軍の砲撃を受け、煙が上がるウクライナ南東部マリウポリの街=4日(AP=共同)

【ワシントン=渡辺浩生】ロシアによるウクライナ侵攻で、露軍は6日、ウクライナの首都キエフの包囲に向けた態勢を整える一方、ウクライナ各地の都市への無差別的な攻撃を続けた。3回目の停戦交渉が7日にも行われる見通しだが、プーチン露大統領はウクライナにとって容認が困難な条件を突き付けており、交渉が実施されても、停戦実現への進展は見通せない状況だ。

米国防総省高官によると、露軍は国境に集結させた兵力の9割超を軍事作戦に投入。キエフを目指す部隊は北方約25キロに待機している。

露軍は補給を整え、キエフ包囲に乗り出す機会をうかがうと同時に、複数の都市への無差別的な砲撃やミサイル攻撃を継続。同省高官は侵攻開始後、ロシアが発射したミサイルは500発を超えたとし、南部の港湾拠点オデッサの攻略も視野に入れていると分析した。

東部の要衝ハリコフでは包囲を狙う露軍とウクライナ軍の戦闘が継続。ハリコフ当局は6日、露軍との戦闘や市内への砲撃で、子供5人を含む計194人が死亡したと発表した。

東部マリウポリでも露軍は包囲戦を継続。街を陥落させ、2014年に併合したクリミア半島と陸路で結ぶ狙いとみられる。マリウポリの当局は6日、露軍の攻撃でこれまでに数千人が死傷したと発表した。ロシアとウクライナは5日、マリウポリなどから民間人を退避させる「人道回廊」の設置と周辺での一時停戦を発表したが、露軍の攻撃で回廊設置は6日に延期されていた。

露軍は北部チェルニヒウでも激しい攻撃を展開。英国防省は、複数の都市を同時に攻撃することでウクライナ側の戦意を失わせようとしていると分析した。

3回目の停戦交渉をめぐっては、双方が7日にも実施する可能性に言及。ただ、プーチン氏は停戦条件として、ウクライナの「非軍事化」など従来の要求に加え、親露派地域を含むウクライナ東部2州全域を「独立」させることが必要だとする考えを4日に示すなど、要求をエスカレートさせている。

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