コロナ収束願い 医療従事者が東京マラソン完走 古口宏子さん

ゴール後、「コロナ禍での開催に感謝したい」と話す古口宏子さん=6日、東京都千代田区(浅上あゆみ撮影)
ゴール後、「コロナ禍での開催に感謝したい」と話す古口宏子さん=6日、東京都千代田区(浅上あゆみ撮影)

新型コロナウイルス収束の願いを込めて-。東京マラソンに初参加した宇都宮市の古口宏子さん(57)は、コロナ禍で奔走する医療従事者の一人。ゴールの東京駅前まであと2キロの地点で、腰の痛みから走ることができなくなったが「出場を後押ししてくれた同僚、家族に感謝を伝えたい」と、足を引きずりながらゴールを目指し、完走を果たした。(浅上あゆみ)

約15年前、友人から軽い運動のためとジムに誘われたのをきっかけにマラソンを始めた。学生のときは大の運動嫌いだったが、5キロのマラソン大会から始め、10キロ、そして、フルマラソンを完走するようになった。

普段は宇都宮市内の総合病院で受け付け事務として働いている。今年で勤務は15年目。病院では若手の医師らから「古口ママ」と呼ばれるお母さん的存在だ。

古口さんが大切にしているのは、患者とのコミュニケーション。患者の目をよく見て話し、顔色がいつもと違うと感じたら医師に相談し、患者を他の科の外来に案内することもある。

コロナ禍でも古口さんの経験が生かされている。

ある日、腰のリハビリで通院している女性と雑談をした際、気になることを聞いた。「先日コロナにかかって以来、治ったはずなのになんとなく気持ち悪くなってしまう。ご飯がよく食べられなくて…」

女性は受診を迷っていたが、古口さんがすぐに消化器科の医師に相談。診察で消化器に問題があったことが判明した。後日、女性から「自分一人で抱えこんでしまっていた。ありがとう」と感謝された。経験したことのないコロナ禍で不安になっている患者は多い。「サポートできてよかった」と古口さん。医師、患者らからの信頼は厚い。

東京マラソンは市民ランナーとして応募してきたが10回ほど落選し続け、今回は念願かなっての初出場だった。病院では毎日、感染予防のため防護服、N95マスク、手袋を着用して治療にあたる医師らの姿を見ている。東京マラソン出場には「こんな状況で出られるはずはない」と葛藤もあった。だが、上司から「頑張ってきて」と背中を押された。

「私の走りでみんなを励ますことができたら」。コロナ収束を願って走り、目標の「完走」を無事に達成。「とにかく楽しかった」。そう語るゴール後の表情は晴れやかだった。

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