花田紀凱の週刊誌ウォッチング

(863)ウクライナ報道、コラムだけとは

2日、ウクライナ東部ハリコフでロシアのミサイル攻撃を受けた警察庁舎(ウクライナ非常事態庁提供・ロイター=共同)
2日、ウクライナ東部ハリコフでロシアのミサイル攻撃を受けた警察庁舎(ウクライナ非常事態庁提供・ロイター=共同)

新聞やテレビなどのウクライナ報道、当然のことながら独自取材はほとんどない。「ロイター通信によると」とか「ウクライナメディアはこう伝えている」とかばっかり。

特派員を置いていてこれだから、まして週刊誌においてをや。というわけで、今週の週刊誌、つらいところだ。

『週刊文春』(3月10日号)は「得意技は『ウソ』『毒殺』『自作自演』 プーチン『殺戮(さつりく)の履歴書』」。

『週刊新潮』(3月10日号)は「『プーチン』の狂気 7つの謎」。

『文春』の方が、あれこれエピソードを拾っていておもしろい。

〈「ウラジーミルは頻繁に夫人を殴り、しばしば浮気し、他の女性との逢瀬を重ねていた。夫人は感情を表に出さない夫のことを、『吸血鬼』と呼んでいた」(旧東独情報機関の機密文書)〉

読み応えがあるのはやっぱり『ニューズウィーク日本版』(3・8)だ。

スペシャルリポート、ウクライナでどーんと17ページ。

同誌コラムニスト、グレン・カール氏(元CIA工作員)の分析。カール氏は〈ウクライナの悲劇は副次的な問題にすぎない。より大きな問題は、プーチンの世界観と国際政治への戦略的アプローチ、そして近い将来の狙いだ〉という。

ではプーチンはどのような戦略を追求しているのか。

〈第1に、プーチンは国際関係をゼロサムゲームと見なしていて(中略)互いの利益のために妥協しようと主張する政治指導者は、噓つきか、愚か者だということになる〉

〈第2に、ロシアの影響力圏を西方に拡大させたいと考えている〉

〈第3に、NATOの弱体化を一貫して目指してきた〉

〈第4に、ロシアを世界の大国の座に復帰させたいと考えている〉

怖いのは〈この先の展開は、プーチン自身も見通せていない〉という点だ。

それにしても「創刊100周年」と浮かれている『週刊朝日』(3・11)、ウクライナに関して田原総一朗さんのコラム1ページ以外、一切、触れていないのはいかがなものか。

(月刊『Hanada』編集長)

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