国際宇宙ステーション(ISS)をめぐり、米航空宇宙局(NASA)が昨年末、2024年までの運用期限を30年まで延長する方針を表明した。長年にわたり国家が主導してきた地球低軌道活動を民間に任せ、月や火星の探査といった大型プロジェクトへ軸足を移す考え。すでに複数の商業用宇宙ステーションを建設する計画も進められており、米企業を中心に「ポストISS」時代を見据えた動きが加速している。今後10年間で地球低軌道の姿は大きく変貌を遂げそうだ。
老朽化進むISS
ISSはサッカー場ほどの大きさの有人実験施設で、地上約400キロの地球低軌道を周回している。米国の提唱で1998年に建設が始まり、日本と欧州、カナダ、ロシアの計15カ国が協力して2011年に完成させた。日本の「きぼう」など微小重力環境を使ったさまざまな研究を行う各国の実験棟や居住棟などを備えている。