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街角の小さなワイナリー、気軽にワインを楽しめる店を 東京ワイナリー

産地それぞれのブドウ本来の味を生かしたワイン。いまの時期は北海道余市町のものなどを販売している=東京都練馬区(酒巻俊介撮影)
産地それぞれのブドウ本来の味を生かしたワイン。いまの時期は北海道余市町のものなどを販売している=東京都練馬区(酒巻俊介撮影)

東京都練馬区の西武池袋線大泉学園駅から徒歩で約10分。住宅街の一角にかわいらしい外観の「東京ワイナリー」(同区大泉学園町)がある。代表の越後屋(えちごや)美和さん(45)が、醸造から販売までほぼ1人でこなす同店は「地元の人が気軽に来られる店」がコンセプト。ブドウ本来の味を生かしたワインと、東京産の野菜を使った料理を楽しめる。(太田泰)

新聞販売店を改装したという手作り感あふれる同店。店内にはワインと食事を楽しめるスペースのほか、奥には醸造用の銀色のタンクがいくつもあった。ここで年間約50種類のワインが造られているという。

出身の横浜市から練馬区に移住する形で店を始めた越後屋さん。大田市場(大田区)で野菜の仲卸をするうちに東京産の野菜のおいしさに気づき、そのことを広めたいと思ったのが開店のきっかけだった。

「もともとワイン好きだったので、東京で作られる野菜と一緒に味わってもらうことができたら面白いなと考えたんです」

とはいえ、ワイン造りには専門的な知識が必要だ。約2年かけて、山梨県内にあるワイナリーに通うなどして技術を習得。平成26年に都内初のワイナリーとしてオープンした。

店のワインに使うブドウの産地は東京をはじめ、山形県、長野県、北海道のもので、特徴はあえてワインに濁りを残している点だ。濾過(ろか)をせず加熱殺菌もしない分、より新鮮な味わいを感じられるという。

今の時期はスパイシーながら、豊かな果実味がある北海道余市町産の「ツヴァイゲルトレーベ」を使ったワイン(2500円)などを販売している。

土日には東京産の野菜にこだわった料理も提供。訪ねたときには自家製の「フォッカッチャサンド」(800円)のほか、日野市のカラフルミニトマト、清瀬市のホウレンソウを使った一品料理など、ワインとの〝ペアリング〟が楽しみな料理が並んでいた。

手作り感あふれる「東京ワイナリー」。新聞販売店を改装した
手作り感あふれる「東京ワイナリー」。新聞販売店を改装した

店ではワインの量り売りも。空のワインボトルやペットボトルなどを持参すれば、量り売り用のワインを入れてもらえる。新型コロナウイルス禍のなか、家でワインを味わおうと、量り売りを利用する人が増えているという。

4年前からは、地元の練馬で育ったブドウを100%使用したワイン造りを目指す「ねりまワインプロジェクト」にも取り組む。保谷駅に近い自社畑や、同プロジェクトに参画する農家の畑など計7カ所でブドウを栽培。醸造作業などを手伝う「ねりまワインファームメイト」には、約800人が登録している。

昨年9月に自社畑で初収穫されたブドウのワインは、先月末に瓶詰めを終えた。このワインは今月13日に、自社畑で行うイベントの際に披露される予定だ。

越後屋さんは「地元でとれた野菜と、ブドウで作ったワインを食べられる所は少ないのではないか。今後は畑を使った収穫体験などのイベントも増やしていきたい」と話している。

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