朝晴れエッセー

島唄とコロナ・3月6日

93歳の父は、昨年は入退院を繰り返しました。近くに住む私の妹の助けを借りながら、一人暮らしで何でもできていたのに、急に衰えました。

そしてわたしは、2年も会えずにいました。

父は、奄美大島の出身です。子供の頃、戦争中に鹿児島に疎開してきましたが、蛇皮(じゃび)線が上手でした。そして寄り合いでは花形でした。

ある日、少しでも元気になってくれればと思い、島唄のヨイスラ節を聞きたいと電話で言ったら、快く歌ってくれました。

歌った後に父が、歌詞の説明をしてくれました。

「会いたいと思っていれば、必ずいつか会えますよ。それまでゆったりとした気持ちで待っていましょう」

即興で作詞したのだそうです。すごい才能だと思いましたが、島唄では普通のことだそうです。

そして、ゆったりとした気持ちでといわれて、心が軽くなった気がしました。

昨年11月に、コロナの間隙を縫うように鹿児島に帰り、PCR検査もして、父に会うことができました。

今は高齢者施設に入っていますが、妹の家にいるときも今も、看護師さんや介護士さんの行き届いた対応に頭が下がります。

たいへんなときですが、「コロナが収束するまで、ゆったりとした気持ちで待っていましょう」


山本富美代(67) 横浜市鶴見区

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