児童書

『あなたがうまれたとき』 子供の「初めて」活写

初めて歩いた、転んだ、悩んだ、「大好き」と言った…。生まれてから誰しも一つずつ経験していく、さまざまな「初めて」。それらを積み重ねて成長していく子供の姿を、昔のアルバムをめくっているような気持ちになる、温かい色合いと筆づかいの絵とともに活写している。

作者のくさかさんは娘を持つ母親。この作品は「一瞬一瞬を大切にいとおしく思ってきたということを、思春期の娘に伝えたい」という思いから生まれた。「あなたが うまれたとき わたしは おかあさんに なりました。」というシンプルな言葉で始まり、子供の「初めて」の瞬間に、母親が抱いた気持ちが添えられている。

そのときどれほどの喜びを抱き、心を痛め、親としての責任を感じたのか。どれもが親子にとって忘れられず、かけがえのない瞬間。思春期の子供だけでなく、それを見守る大人たちにとっても、初めて目を開けたときの「このこを まもりたい」という、親子をつなぐ愛情の原点を思い出させる。(くさかみなこ作、横須賀香絵/小学館・1320円)

(田中佐和)

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