「飛行禁止区域か軍用機を」ウクライナの要求 NATOいずれも拒否

4日、ウクライナ首都キエフのバスターミナルに転がるミサイルの残骸(ロイター=共同)
4日、ウクライナ首都キエフのバスターミナルに転がるミサイルの残骸(ロイター=共同)

【パリ=三井美奈】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は4日、ブリュッセルでNATO外相会合後に記者会見し、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設ける計画はないと表明した。ウクライナ政府は飛行禁止区域の設定、あるいは軍用機の提供をNATOに求めてきたが、いずれも拒否する構えだ。

ストルテンベルグ氏は、飛行禁止区域でNATO軍機が監視飛行を行えば、「ロシア軍機を攻撃することになりかねない。そんなことになれば、欧州で本格的な戦争になる」と述べた。ブリンケン米国務長官もブリュッセルで行った記者会見で、「バイデン大統領は、ロシアと戦争はしないと明確に言っている」と述べ、ストルテンベルグ氏に同調した。

飛行禁止区域は、ウクライナ上空でロシア軍機の進入を禁止し、NATO軍機が監視にあたるもの。NATOは1990年代、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時に実施した前例がある。

ロシア軍は戦闘長期化に従い、ウクライナ東部ハリコフなど都市部への空襲を本格化させている。ウクライナ政府は制空権を奪われないよう、NATOに軍用機の提供も求めていたが、ストルテンベルグ氏は1日、視察先のポーランドで「NATOは、部隊も航空機もウクライナには送らない」と拒否していた。

4日のNATO外相会合では、ウクライナのクレバ外相がオンラインで参加。「あなた方の多くから『対戦車兵器、弾薬、機関銃などの武器提供を決めた』というメッセージをもらった。対応が遅すぎることにならなければよいが」と述べ、要望が拒否されたことへのいらだちを示した。

ブリンケン氏は4日、ブリュッセルでNATO外相会合に続いて、欧州連合(EU)外相会合に出席。ウクライナで、戦闘地から民間人を避難させるための「人道回廊」設置の必要性を確認した。

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