中国、国防費7・1%増 全人代開幕 「外部勢力の台湾干渉に反対」

【北京=三塚聖平】中国の立法機関、第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕した。李克強首相は政府活動報告で、2022年の国内総生産(GDP)実質成長率の政府目標を「5・5%前後」に設定したと表明した。国防費は、22年予算案に前年比7・1%増の1兆4504億5千万元(約26兆3400億円)を計上し、昨年の6・8%増から拡大。前年比の伸び率が7%を超えるのは19年以来で、習近平政権が掲げる「強軍」路線の継続が鮮明となっている。

会期は11日まで。今年後半に開かれる5年に1度の共産党大会で習総書記(国家主席)が3期目入りを目指しており、国内の安定が最優先課題となる。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻で対外関係も複雑化しており、習政権は難しいかじ取りを迫られている。

経済成長目標は、前年の「6%以上」から引き下げたものの、国際通貨基金(IMF)は今年1月に中国の22年の成長率を4・8%と予測しており、党大会を前に景気を下支えする姿勢を示した形だ。

台湾政策については「統一」に向けた方針を改めて表明した上で、「『台湾独立』の分裂行為と、外部勢力の干渉に断固反対する」と訴えた。昨年は「外部勢力の干渉」には触れておらず、台湾支援を進めるバイデン米政権などを牽制(けんせい)したとみられる。

香港政策では「中央の全面的な管轄統治権」や「愛国者による香港統治」を徹底すると強調した。習政権は昨年、香港の民主派排除を可能とした選挙制度の見直しを進めたが、統制強化を続ける姿勢を示した。

2月の北京冬季五輪については「成功」と自賛した。北京パラリンピックも乗り切り、習氏の3期目入りに向けた環境整備をさらに進める方針とみられる。

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