米欧メディア、露で活動停止 CNN、BBCなど記者の安全懸念

3日、攻撃で損傷した住宅=ウクライナ首都キエフ北東側のチェルニヒウ州(ロイター=共同)
3日、攻撃で損傷した住宅=ウクライナ首都キエフ北東側のチェルニヒウ州(ロイター=共同)

【ワシントン=大内清、ヘルシンキ=板東和正】米欧の主要報道機関が4日、ロシアでの活動を停止すると相次いで明らかにした。米CNNテレビや米ブルームバーグ通信、英BBC放送などが発表した。ロシアでウクライナ侵攻に関する「虚偽情報」を拡散した人物に最長で禁錮15年を科す法律が発効したのを受け、記者らの安全を確保するための判断。プーチン露政権の強権支配の下で報道の自由が脅かされる中、露国内に駐在する他メディアにも波及する可能性がある。

CNNは声明で、「ロシア国内での放送を停止し、状況の評価と今後の活動のあり方を検討する」と述べた。BBCのデイビー会長は、ロシアで発効した法律は「独立したジャーナリズムのプロセスを犯罪とみなしているようにみえる」と非難し、同国内での取材活動を「一時的に停止する以外の選択肢はなかった」と説明。ブルームバーグのミケルスウェイト編集長も、ロシアでジャーナリズムを継続するのが困難になったと指摘した。カナダのカナダ放送協会(CBC)も露国内での報道活動を一時停止するとした。

ロイター通信などによると、ロシアは4日までにBBCや米国のボイス・オブ・アメリカ(VOA)、ドイツの公共放送ドイチェ・ウェレなどの海外メディアのサイトを遮断した。こうした動きについてBBCは「正確で独立した情報へのアクセスは基本的人権で、ロシア国民がそれを否定されるべきではない」と批判。BBCは今後もロシア語版のサービスを継続し、ロシア国外から運営するという。

一方、欧州連合(EU)は2日、偽情報を広めているとして、露国営メディアの「RT(ロシア・トゥデイ)」や「スプートニク」についてEU圏内での放送や配信を禁止すると発表している。

EUのボレル外交安全保障上級代表は声明で「露政府による組織的な情報操作や偽情報がウクライナへの攻撃のツールとして使われている」と非難。偽情報は「EUの秩序や安全に対する重大かつ直接的な脅威でもある」と強調した。

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