深層リポート

宮城発 鳴子温泉に風力発電7計画 大規模開発、鍵は「住民合意」

国立大学の遊休地を大学業務と無関係の第三者へ貸し付けて収益を得ることは、国の「大学改革」の一環として29年から認められている。だが文部科学省によると、放射性物質に汚染された土地を貸し付けた例はなく極めて異例。

環境影響評価(アセスメント)手続きの一つで昨年4月に開かれた宮城県環境影響評価技術審査会では、放射性物質の専門家が、風力発電施設の建設工事で放射性物質が周辺地へ流出することを懸念した。

大学によると、貸し付け料は年間8千万円、期間は発電開始から20年間。伊豆仁志財務部長は「放射線量の数値は公表しないが、放牧には適さないものの、作業時の被曝(ひばく)は問題ないレベルだった」と説明。「問題が寄せられた場合、一次的には事業者の責任だが、土地所有者である東北大学が知らないふりをするわけではない。問題があれば真摯(しんし)に対応する」と話した。

法の不備補う条例

環境影響評価法には、事業者に地域住民との合意形成を求める直接的な規定はない。法の不備が指摘される中、全国の自治体でそれを補う条例制定の動きが広がっている。

地方自治研究機構によると、太陽光発電の規制に関する条例は26年以降、177自治体が制定。このうち85条例は風力などの再生可能エネルギー(再エネ)も対象だ。

鳴子地区がある大崎市も昨年3月に再エネ条例を制定。事業者に事前協議や住民との合意形成を義務づけた。再エネ固定価格買い取り制度では、関係法令や条例に違反すると認定が取り消される規定があり、全国で前例もある。

市環境保全課は「一定の抑止力になる」と説明。事業者の一つ、川渡(かわたび)風力発電側の担当者は「条例に従った手続きは必ず対応する」と話した。

宮城県大崎市の再生可能エネルギー条例】 事業者に対し、事業着手90日前までに市と事前協議すること、住民説明会や一定の範囲の住民との協議による合意形成を義務づけた。「理解が得られた」とする住民代表(自治会長や行政区長らを想定)の複数の署名が入った「説明会等報告書」の提出を求める。協議は原則、合意形成まで繰り返される。市は「事業者も住民も条例を活用し、しっかり話し合ってほしい」と呼びかけている。

記者の独り言】 ポストに入っていた電気の検針票を見て、電気代が上がったなあと思う。再エネ普及のため電気代に上乗せされる「再エネ賦課金」がその一因だ。普及に伴い年々上がり、標準家庭で年間1万476円。私たちがこれほど負担してまで普及を進める太陽光や風力発電に反対する人々が全国各地にいる。自分と同じ、地域のおじさん、おばさんたちが暮らしや未来に不安を覚え、素人が声を上げざるを得ない状況に置かれている。ひとごとではない。知らないふりはできない。(徳光一輝)

会員限定記事会員サービス詳細