群れで暮らす雌のマウスが孤独を感じ、仲間との接触を取り戻そうとする際の脳の活動が、子育てに重要な脳の仕組みと深い関係にあることが分かった。理化学研究所などの研究チームが突き止めた。人間社会の児童虐待の背景に、母親が家族などの協力を得られず周囲から孤立して子を育てる「孤育(こそだ)て」があると指摘されている。孤独によって子育てがうまくできなくなる可能性が分子レベルで示された。人間を含め、群れで生活して共同で子育てする哺乳動物の社会性を解明する鍵を握ると期待される成果だ。
子育て担う神経伝達
マウスやヒトなど、高い社会性を持った動物は群れを作ることで寒さをしのいだり、巣作りをしたり、授乳など子育てを助け合ったりして、効率的に繁殖している。孤独はすなわち、生命の危険につながる状態だ。