【パリ=三井美奈】ロシアのウクライナ侵攻で、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は4日、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設ける計画はないと表明した。ウクライナ政府はNATOに対して飛行禁止区域の設定または軍用機の提供を求めていた。一方、ロシアとウクライナ両軍の戦闘が続く東部の港湾都市マリウポリなどで民間人を安全に避難させるための「人道回廊」について、地元当局は5日、ロシアが攻撃を停止しないため実施を見合わせていることを明らかにした。
飛行禁止区域を設定すれば、NATOの戦闘機がロシアの軍用機によるウクライナ上空への侵入を監視することとなり、両者の戦闘に発展する恐れがある。
ストルテンベルグ氏はNATO外相会合後の記者会見で、NATO軍機が監視飛行を実施すれば露軍機を撃墜しかねず、「そうなれば欧州で本格的な戦争になる」と述べた。
ロシア軍はウクライナ第2の都市で東部の要衝、ハリコフなどへの空襲を本格化させている。同国政府は制空権をロシアに奪われないよう、NATOに軍用機の提供も求めていたが、NATOに拒否された。