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横浜Mの点取り屋 今季の救世主は…

【横浜M-C大阪】後半、勝ち越しのゴールを決める横浜M・アンデルソンロペス。昨季は札幌で12得点を挙げた実力者だ=2月19日、日産スタジアム(撮影・蔵賢斗)
【横浜M-C大阪】後半、勝ち越しのゴールを決める横浜M・アンデルソンロペス。昨季は札幌で12得点を挙げた実力者だ=2月19日、日産スタジアム(撮影・蔵賢斗)

サッカーJ1の横浜Mで近年、アタッカーの巧みな起用や補強が目立っている。2桁ゴールを挙げる重要な得点源を毎年のように失いながら既存選手が奮起したり、強化担当が国内外の外国人を発掘したりしてカバー。昨季23ゴールでリーグ得点王に輝いた前田を海外挑戦で失った今季も、2019年リーグ得点王の仲川らが快調にシーズンを走り出している。

18年にチームトップの13得点を挙げたビエイラが退団して迎えた19年は、仲川と新加入のマルコスジュニオールが各15ゴールでリーグ得点王を獲得。新加入だった19年に出場16試合でチーム3位の11得点を挙げたエジガルジュニオがシーズン中に抜けた20年は、19年途中加入のエリキと20年途中加入のジュニオールサントスが各13ゴールでチーム得点王を分け合った。

2019年リーグ得点王の仲川は好スタートを切った
2019年リーグ得点王の仲川は好スタートを切った

20年シーズン後にエリキとジュニオールサントスがチームを去っても、21年は20年途中加入の前田が23ゴールでリーグ得点王に輝く。12得点とゴールを量産していたオナイウがシーズン中に海外挑戦で抜けた穴は、21年途中加入のレオセアラが10得点で埋めた。そして前田の退団を経て迎えた今季は、20年以降は振るわなかった仲川が3得点でリーグ首位に立っている。

背景に18年からチームを率いたポステコグルー監督(21年途中で退団)が攻撃的なスタイルを植え付けたことがあるのは間違いない。とはいえ、毎年のように新たな得点源を作り出すのは容易ではない。選手や現場首脳陣はもちろん、柏でくすぶっていたジュニオールサントスを見いだすなど、補強を担う強化部門も含めたクラブ全体の努力のたまものといえる。

今季、チームはまずまずの滑り出しをみせている。2月23日に3連覇に挑む川崎を4-2で、3月2日には神戸を2-0で下すなど4試合を終えて2勝1分け1敗。昨季途中からチームを率いるマスカット監督は「自分たちのパフォーマンスを表現できれば、どのチームも止められない」と手応えを口にする。昨季にリーグトップの82得点を挙げた攻撃力は健在で、今季も新たな得点源が生まれそうだ。

昨季は仙台で6得点の西村は今季2ゴールを挙げた
昨季は仙台で6得点の西村は今季2ゴールを挙げた

仲川以外にも実力者は控える。昨季加入のエウベル、今季新加入組で昨季は札幌で12得点のアンデルソンロペス、昨季は仙台で6得点の西村がそれぞれ2ゴール。神戸戦で今季初出場した昨季途中加入の宮市もスピードを生かしてゴールに迫った。高校卒業後にJリーグを経ずに欧州でもまれてきた宮市は、仲川と同級生の29歳と働き盛り。まだまだ老け込む年齢ではなく、新たな救世主になってもおかしくない。

昨季終了後に主力の退団が相次ぎ、中でも不安視されていたのが前田が抜けた穴だった。23得点を挙げた点取り屋の流出はあまりにも痛い一方、得点源の退団をカバーし続ける攻撃自慢の横浜Mであれば乗り越えられそうな期待感もある。またしても新たな戦力を生み出した先に、川崎の3連覇阻止と3年ぶりのJ1優勝が見えてくる。(運動部 奥山次郎)

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