欧州はウクライナと地続きだから、紛争への関心が高い。特に、フランス人は「自由をかけた戦い」となると、がぜん燃える。

1日には、パリでウクライナ支援集会が開かれた。会場は、19世紀に造られた下町の劇場。哲学者サルトルが戯曲を発表したところで、天井桟敷までいっぱいだった。オランド前大統領ら著名人が駆け付けた。

米国人もビデオ出演した。白髪の女性がウクライナの応援歌を披露し、「妙に迫力がある」と思ったら、パティ・スミスさんだった。1970年代に「パンクの女王」と呼ばれたカリスマ歌手だ。

続いて、ウクライナ人たちが登場した。前大統領は「チェルノブイリに近い街が露軍に攻撃され、唯一の薬局が消えた」と戦況を伝えた。「キエフが陥落すれば、民主主義が敗北する。これは、あなた方の戦いでもある」と涙声で訴える作家もいた。パリから2千キロ以上先にいるのに、彼らの息遣いが伝わる。

ゼレンスキー大統領は毎日のように、「欧州よ、一緒に立ち上がってくれ」と動画で訴える。命がけで国を守る指導者の姿は確実に、欧州の空気を変えた。インターネット時代の戦争は、戦場の叫びがリアルタイムで世界に広がる。「傍観できない」という気持ちにさせられる。

(三井美奈)

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