連載小説「厳島 ITSUKUSHIMA」(54)騙し合い・五 武内涼2022/3/4 11:00有料会員記事ライフ学術・アート本小説「厳島」反応騙(だま)し合い 五月明かりの欠片(かけら)が騒ぐ夜の瀬戸内海を舟は東にすすむ。静かな海であった。北に、元就(もとなり)に取られた厳島(いつくしま)の島影が黒くみとめられた。舟がだいぶ陸から遠ざかった処(ところ)で房栄(ふさひで)は言う。反応