今年最初の女流タイトル戦「第48期女流名人戦五番勝負」で伊藤沙恵女流三段(28)が自身初タイトルとなる女流名人を獲得した。将棋界史上最多となる9度目のタイトル挑戦での悲願達成に涙を見せた。
男性棋戦は、藤井聡太五冠(19)=棋聖・竜王・王位・叡王・王将=が着々とタイトルを増やし、〝藤井1強〟を歩んでいる。女流棋界も一時、タイトルを二分していた里見香奈女流四冠(30)=女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花=と西山朋佳女流二冠(26)=白玲・女王=の〝2強〟とされた。しかし、加藤桃子女流三段(26)が昨年、里見女流四冠から清麗のタイトルを奪取、伊藤女流名人も誕生した。女流棋界は今後、この〝4強〟を中心とした戦いが予想され、目が離せなくなる。
女流棋界は今年度も話題が相次いだ。西山女流二冠が奨励会を退会し、女流棋士に転向。その西山女流二冠は10月、ヒューリック主催の最高峰棋戦「第1期ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦」を勝ち抜き、初代白玲に輝いた。里見女流四冠は6月、女流王位防衛で獲得タイトル通算44期の歴代単独トップを達成。女流王将戦にも挑戦し、西山女流二冠に5度目の女流タイトル戦で初めて勝利した。加藤清麗は平成31年に女流棋士になってから初のタイトル奪取となった。
そしてタイトルホルダーの仲間入りを果たした伊藤女流名人は終局後、「結果を残せて良かった」と苦闘の道のりを振り返った。(田中夕介)