首相記者会見詳報

(3)「留学生円滑入国スキーム」設ける

会見する岸田文雄首相=3日夜、首相官邸(矢島康弘撮影)
会見する岸田文雄首相=3日夜、首相官邸(矢島康弘撮影)

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「第3に水際対策については、3月1日から骨格を緩和し観光目的以外の外国人の受け入れを再開しました。2月25日から外国人の受け入れ申請の受け付けを開始し、すでに16万人を超える入国申請を受け付けています。年度末は進学や転勤などにより、日本人の帰国需要が高まります。この点を勘案し、3月14日より入国者総数の上限を5000人から7000人に引き上げます。今後、内外の感染状況を見ながら段階的に国際的な人の往来を増やしていきます」

「多くの留学生が4月の新学期を迎え、希望通り入国できるかどうか不安に感じておられます。新型コロナによりこの2年間、15万人の留学生が来日を心待ちにしている状況です。わが国の宝とも言える留学生が国民の安心を保ちつつ、円滑に入国できるよう『留学生円滑入国スキーム』を設け、ビジネス客が比較的少ない平日を中心に、空席を活用して優先的に入国できるよう支援いたします」

「これから年度末や新年度を迎えると、卒業式や春休み、入学式、さらには花見など、多くの人が集まる行事が行われるとともに、就職や進学を機会に、移動が多くなる季節となります。これまでこのような機会をきっかけに感染が拡大したことから、感染リスクの高い行動を控え、改めてマスクの着用、手洗い、3密の回避や換気などの基本的感染防止策の徹底を心掛けていただきますようお願いいたします」

「最後に中小企業活性化パッケージについて申し上げます。感染拡大が続く中、年度をまたいだ中小企業の事業継続と新型コロナ後を見据えた事業復活に向けた果敢な挑戦を支援するための活性化パッケージを取りまとめ、展開いたします。パッケージの1つ目は、資金繰り支援です。融資の条件変更への対応について担当閣僚から金融機関に要請するなど、年度末の資金需要に対応いたします。加えて年度をまたいだ事業継続を支援するため、年度末を期限とした実質無利子無担保での融資を6月末まで延長するとともに、事業者の返済負担を軽減するため、15年の融資期間を20年に延長いたします。あわせて、事業者の財務基盤を強化するため、資本性劣後ローンによる支援についても、来年度末まで延長いたします」

「パッケージの2つ目は、増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善事業再生、再チャレンジの総合的支援です。まず金融機関や税理士など、全国3万以上の認定支援機関の総力を結集することで、中小企業の収益力改善のための伴走支援を徹底いたします。その上で必要な場合には、金融機関の協力のもとで債務カットなどを行いつつ、収益力の改善の取り組みが円滑に進むよう、中小企業の事業再生などのガイドラインを策定し、経営者の退任を原則としない形での事業再生を推進いたします。全国47都道府県において、収益力改善事業再生再チャレンジを一元的に支援するための体制を整備し、地域全体で苦しむ中小企業の支援に取り組んでいきます。詳細は明日、萩生田光一経済産業相から発表いたします」

「国の内外で世界を日本を、経済をそして私たちの暮らしを大きく変える歴史的な出来事が続いています。大きな流れをしっかりと見据えながら、国民にとってのベストな政策を前例にこだわらず、機動的に講じていく。現場の声を丁寧におうかがいしながら、こうした岸田内閣の姿勢をしっかりと保ってまいります。国民の皆さんのご理解とご協力を心からお願い申し上げます」

--新型コロナの感染減少のペースは緩やかで、病床使用率は高い。原因と対策は。今回延長する蔓延防止等重点措置は新たな期限の21日に解除できるのか。

「まずオミクロン株への対応については、その特性もふまえながら、強い行動制限を伴う緊急事態宣言を発出することなく、社会経済活動の維持とバランスを取りながら感染拡大防止に取り組んできたところです。その中で、やはり最も重要なことは国民の命を守ることであり、入院医療体制や、安心できる在宅療養体制の確保に重点を置いて対策を進めてきました。ピーク時においても、重症病床には十分余力があったと考えています」

「現在、多くの地域で新規感染者の数は減少が続いています。ただし、地域によってはなお、感染拡大に遅れて重症者が増加したことなどにより、病床使用率が依然、高い水準にある都道府県があり、こうした地域については慎重を期して措置を延長したということです。今般、この重点措置を延長した地域においては、引き続き、自治体との連携のもとに、拡充した医療体制を確実に稼働させつつ、オミクロン株の特性を踏まえた学校ですとか、高齢者施設などにおける感染防止対策の強化。高齢者施設や、後方支援病院での医療体制の強化。さらには、軽症の自宅療養者への対応強化。こういったことを徹底することによって感染者数と、そして入院率。この両方を下げていきたいと思っています」

そしてそのうえで、解除の見通しについてご質問いただきましたが、この措置の終了にあたっては、病床使用率。そして重症病床使用率。また、自宅療養者数。また療養など調整中の方。こうした点の動向、動きに重点を置いて、専門家の意見も聞きながら総合的に判断するというのが基本的な考え方です。こういった点を今回、延長した地域の解除については、念頭に置きながら考えていきたいと思っています」

=(4)に続く


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