主張

施設のコロナ対策 万全の体制で高齢者守れ

新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受け、政府は蔓延防止等重点措置を適用している31都道府県のうち、首都圏など一部の期限を延長する見通しだ。

延長せざるを得ないのは、病床使用率が高止まりしているのに加え、基礎疾患の悪化などで重症

化する高齢者が増えているためだ。死者の大多数が70代以上である。

高齢者への感染対策の重要性は第6波が始まった当初から指摘されていた。にもかかわらず、高齢者の感染に歯止めがかからないのはどうしたことか。政府の対応が万全だったとは言えまい。感染した若者に軽症者が多く、緊張が緩んではいなかったか。

特に高齢者福祉施設のコロナ対策が不十分だったことは猛省すべきだ。施設で同時に2人以上が感染するクラスターが前週比で約400件増加した。

施設での感染は、外部と接点のあるスタッフが感染源となることが多い。感染者の早期発見に向けて、スタッフの定期的な検査を励行すべきだった。それがなぜ徹底できなかったのか、今からでもしっかり検証すべきである。

医療機関の逼迫(ひっぱく)で入院が困難だったり、軽症者が施設に残ったりするケースも多い。医療機関で行っていた従来のコロナ対応の高度医療だけではなく、施設内で通常に近い医療を充実させることが欠かせない。

医療職が高齢者施設に感染指導をしたり、往診したりすることも重要だ。医療機関との接点が薄い施設には自治体が調整すべきである。感染収束後には医療と介護の連携にも資するはずだ。

国は、緊急時に施設を円滑に運営するための事業継続計画(BCP)の作成を促している。早期に計画を作った施設でも、クラスターが発生すると欠けている点に気付く。何が足りなかったか施設間で情報を共有し、より安全な場所にしてもらいたい。

高齢者施設での3回目のワクチン接種を急ぐべきなのは言うまでもない。だが、完了の見通しすらあいまいである。政府は接種の遅れを猛省すべきだ。

東京都などは高齢者向けの臨時医療施設を整備した。国が人材を派遣し、酸素投与や透析、点滴などの機材を備える。クラスターが発生した高齢者施設への往診拠点にもなる。フル活用すべきだ。

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