岸田文雄首相は3日、首相官邸で記者会見に臨み、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス対策などを説明した。詳報は以下の通り。
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「本日はロシアによるウクライナ侵略、原油高、新型コロナなど直面する内外の主要課題への対応についてご説明をいたします」
「まず、ロシアによるウクライナ侵略についてです。ロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反の暴挙であり、改めて厳しく非難をいたします。今回のような力による一方的な現状変更を決して許すことはできません。国際秩序の根幹であるこの原則を守り抜くことは東アジアの安全保障環境が急速に厳しさを増す中、わが国の今後の外交安全保障の観点からも極めて重要です。わが国は国際社会と結束して毅然と行動してまいります」
「ロシアの核抑止力部隊が警戒態勢を引き上げたことは言語道断です。唯一の戦争被爆国であり、また被爆地広島出身の首相として、核兵器による威嚇も、ましてや使用も万が一にも許されるものではないことを首脳外交や国際会議の場で、強く訴えているところです。わが国は主権と領土、そして、祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民とともにあります」
「国難に直面するウクライナの皆さんを支えるため、ポーランドなど周辺国に避難された方々や子供への支援を含め、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)やユニセフなどの国際機関と協力し、1億ドルの緊急人道支援を行っていきます。ウクライナの人々との連帯をさらに示すべく、ウクライナからポーランドなど第三国に避難された方々のわが国への受け入れも進めてまいります」
「わが国はG7(先進7カ国)各国、国際社会とともにロシアに対して強い制裁措置を取っていきます。その観点からプーチン大統領を含むロシア関係者などの資産凍結に加え、本日、ロシアの財閥であるオリガルヒ(新興寡占資本家)などの資産凍結についても決定いたしました。金融面では、欧米とともに、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離するため、ロシア中央銀行との取引を制限する措置に加え、本日、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの7つの銀行を排除するために必要な国内措置をとりました。あわせて国際合意リスト品目や半導体など汎用品の輸出管理強化といった制裁も講じています」
「さらに今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与にかんがみ、ルカシェンコ大統領をはじめとする個人、団体への制裁措置や輸出管理措置など、ベラルーシに対する制裁も本日決定をいたしました」
「邦人保護に全力を尽くしてまいります。私自身、昨日ポーランドのモラヴィエツキ首相との電話会談で、ウクライナ在留邦人のポーランドへの円滑な入国などに協力を要請し、先方からは最大限の支援を提供する旨発言がありました。ポーランドから他の国へ移動するためのチャーター機も手配済みです。引き続き、ウクライナのリビウ市およびウクライナ国境に近いポーランドのジェシュフ市に開設した臨時連絡事務所を中心に在留邦人の安全確保や出国支援に取り組んでいきます」
「私自身首脳外交を積極的に展開していきます。今週もウクライナ、フランス、ドイツ、ポーランド、ラオスの首脳と電話会談を行い、バイデン大統領主催のG7、NATO(北大西洋条約機構)などとの首脳電話会議にも出席いたしました。この後、23時からは、日米豪印の首脳テレビ会議に出席し、ウクライナ情勢への対応について意見交換を行う予定です。情勢は日々変化しています。制裁などではG7各国との緊密な連携を図りつつ、アジア各国に働きかけるなど、わが国として事態打開に向けた貢献をしていきます」