停戦交渉再開 露、498人戦死 ウクライナ侵攻

ウクライナ東部ハリコフの治安当局施設近くに落ちたロケット弾の破片=2日(AP=共同)
ウクライナ東部ハリコフの治安当局施設近くに落ちたロケット弾の破片=2日(AP=共同)

ロシアのウクライナ侵攻をめぐる両国の2回目の停戦交渉が3日、始まった。ロシア軍はこの日も首都キエフなど各都市にミサイル攻撃や砲撃を続行。一方、露国防省は軍事作戦でロシア将兵498人が戦死したと発表した。損害を具体的に公表したのは初めて。(モスクワ 小野田雄一、ワシントン 渡辺浩生、パリ 三井美奈)

ロシアは停戦の条件として、2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島でのロシア主権の承認、ウクライナの非軍事化などを要求しており、交渉の行方は不透明だ。交渉は2日夜にもベラルーシ西部ブレスト州で行われると伝えられたが、調整が難航して実現しなかった。

プーチン露大統領は3日、フランスのマクロン大統領と電話会談し、ウクライナの「非軍事化」実現に向け、軍事作戦を完遂すると強調した。マクロン氏はウクライナ情勢について「最悪の状況」が訪れる可能性に触れた。

ロシア軍はこの日、キエフ包囲に向け攻撃を続行。キエフ北方のチェルニヒウ州内では、2つの学校などが空爆され、少なくとも9人が死亡した。キエフ近郊ホストメルなどでも戦闘が続いたが、ウクライナ側が防衛線を維持。米国防総省によれば、キエフ北方で確認されたロシア軍の車列前進を遅らせるため、ウクライナ軍が攻撃を試みた可能性がある。

東部マリウポリにもロシア軍の攻撃が続いた。米シンクタンク「戦争研究所」によれば、クリミア半島からマリウポリ付近を通過し、ロシア本土と陸路でつなぐ「回廊」を確保したもようだ。東部ハリコフも攻撃を受けているが、ウクライナ側が戦線を維持しているとみられる。

露国防省は2日、自軍の死者数に加え、1597人が負傷したと発表。これまで自軍の損害を明らかにしていなかったが、損害拡大で公表に踏み切らざるを得なかったとみられる。同省はまた、ウクライナ将兵2870人以上を殺害し、572人を捕虜にしたと明らかにした。

国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカリム・カーン主任検察官は2日、ウクライナでの戦争犯罪と人道に対する罪の疑いで、ICCに加盟する39カ国から捜査の付託を受け、捜査を開始すると発表した。

世界銀行は同日、ロシア関連の全ての事業を即時停止したと発表。ロシア軍が侵攻拠点にしている隣国ベラルーシの事業も止めた。

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