【パリ=三井美奈】ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、欧州連合(EU)欧州議会でビデオ演説し、ウクライナのEU加盟を求めた。EU側は、ロシアとの戦いを続けるゼレンスキー氏への支持を示す一方、ウクライナ加盟には慎重な立場を崩していない。
ゼレンスキー氏は、隠れ家とみられる室内から、ウクライナの旗を背にTシャツ姿で出演。「EUは、私たちと一緒になれば、もっと強くなる。あなた方がいなければ、われわれは孤立してしまう」と述べた。さらに、「見捨てないでほしい。みなさんが、真の欧州人であることを示してください」と訴え、議員らから総立ちの拍手を受けた。
ゼレンスキー氏は2月28日、EUの加盟申請書にサインし、ビデオメッセージで特例による早期加盟を認めるよう訴えた。北大西洋条約機構(NATO)、EUの両機関への加盟でウクライナを「西側の一員」と位置づけ、ロシアの影響力を排除したい狙いがある。
だが、EUのミシェル大統領は1日、加盟を目指すウクライナの立場に理解を示す一方で、「難しいだろう。各国の意見はさまざまだ」と述べた。
EUでは、ポーランドやリトアニアなど計8カ国が、ウクライナのEUへの早期加盟に支持を表明している。
EU加盟には、全加盟国の合意が必要。加盟に当たっては、EU法に沿った司法、経済など国内制度の整備が前提になる。EUでは現在、アルバニア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコの5カ国が加盟候補国となっている。