今春、大相撲の二所ノ関部屋(茨城県つくば市)に入門する茨城県立水戸南高定時制3年、渡辺龍斗(りゅうと)さん(19)の「入門と卒業予定を祝う会」が水戸市白梅の同校で開かれた。この特別な催しは、入門の準備で出席の難しい卒業式の代わりに、と二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の働きかけで実現。渡辺さんは「これでスタートラインに立てたと実感できた」と感謝した。
水戸南高から角界
角界入りの扉は自分でこじ開けた。180センチ、125キロの堂々たる体格。高校ではレスリングに打ち込み、関東大会にも出場した渡辺さんは昨年10月、「初心者でも相撲はできますか?」とツイッターで二所ノ関親方へ質問した。
「もともと相撲は好きだった。一瞬で勝負がつく世界に『かっこいいな』とあこがれていました」
まず二所ノ関部屋のマネジャーが会いに来てくれたあと、12月につくば市の部屋を訪問。初めてまわしを付け、稽古を体験した。「翌日は階段を登れないくらいの筋肉痛。きつかったが、入門の気持ちは固まった」と渡辺さん。
レスリングで鍛えた
一方、親方は「筋肉の質もよく、まだまだ大きくなる。伸びしろがあるいい素材だ」と高評価。自身も同県龍ケ崎市立長山中から角界入りするため、鳴戸親方(元横綱隆の里)へ電話をかけていた。「私も(勧誘でない)〝志願兵〟で渡辺君と一緒」と同じ茨城の後輩に縁も感じたとする。
渡辺さんの両親らも招いた今月17日の「祝う会」で、親方は来賓としてあいさつ。「99%厳しい世界だが、土俵の上の勝利で周りの人を幸せにでき、体一つで夢をつかめる世界。錦を飾り、この高校へ胸を張って帰ってこられるような力士に育てたい」と言明した。
渡辺さんは「親方のご指導の下、強い力士を目指していく」と誓った。
親方には「自分も(長山中の)卒業式に出られなかったが、学校全体で送り出してくれた」という思い出があり、「祝う会」も渡辺さんの高校生活の区切りに、と提案。「これだけの人がきてくれた。しっかりした気持ちを持ち、大相撲の世界で活躍してほしい」と新弟子に期待した。
渡辺さんは「自分の持ち味は相撲の経験がないこと。レスリングの技術もうまく混ぜ、瞬発力やスピードを生かしたい」との意気込みを語り、「親方に次ぐ茨城出身の横綱になりたい」と大きな夢を抱く。(三浦馨)