主張

トヨタ操業停止 全力でサイバー攻撃防げ

トヨタ自動車の取引先である部品メーカーがサイバー攻撃を受け、トヨタの国内全14工場の稼働が一時停止する重大な事態へと発展した。

誰が仕掛けたサイバー攻撃なのかは分かっていない。しかし、日本の製造業を代表するトヨタがサプライチェーン(供給網)の一角で受けたサイバー攻撃によって機能不全に追い込まれた衝撃は大きい。

折しも、ロシアがウクライナに侵攻する直前の2月23日、日本政府が国内企業にサイバーセキュリティー対策を強化するよう呼びかけたばかりだった。ウクライナでは2月中旬、国防省や銀行がサイバー攻撃にあい、同国政府がロシアの関与を示唆していた。

こうした最近の国際情勢が今回の攻撃に関係している可能性はないのか。警察をはじめ政府当局は攻撃を仕掛けた相手の特定などの全容を早急に解明してほしい。その上で手口を広く周知し、新たな被害の防止に当たるべきだ。

攻撃されたのはトヨタ系の小島プレス工業である。26日夜に社内サーバーが停止し、トヨタの部品管理システムも影響を受けた。小島プレスは1日、身代金要求型ウイルスによる攻撃で脅迫メッセージを受け取ったと発表した。

産業の裾野が広い自動車産業では、一部の部品供給が滞っただけで全体の生産に影響が及ぶ。各メーカーは取引先の対策にも目を光らせなくてはならない。バックアップ体制を備えることは災害時においても有効だ。

もちろん電力・ガスや通信、鉄道などインフラを担う企業はとくに、攻撃への警戒を強め、万全の対策を講じる必要がある。

松野博一官房長官は1日、「ウクライナを含む昨今の情勢から、サイバー攻撃のリスクは高まっている」との認識を示した。さらに「企業の被害が発生する懸念が強まっている。対策強化に努め、不審な動きを把握した場合は相談してほしい」と呼びかけた。

昨今はロシアや中国、北朝鮮などの関与が疑われるサイバー攻撃が増えている。日米欧はロシアへの厳しい経済制裁などに乗り出したが、報復を受ける可能性は十分ある。北朝鮮の弾道ミサイル発射のように国際情勢の混乱に乗じた動きもある。日本も当事者意識を持ち、官民を挙げてサイバー攻撃を阻止するため最大限の警戒を怠ってはならない。

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