【モスクワ=小野田雄一】ロシアのウクライナ侵攻で、露政府系機関「全ロシア世論調査センター」は2月28日、68%の国民がウクライナへの「特別軍事作戦」を支持している-とする世論調査結果を発表した。侵攻をめぐる世論調査結果が公表されるのは初。
発表によると、調査は25日と27日、18歳以上の露国民各1600人を対象に電話で実施。25日の調査では、作戦への「支持」は65%だったが、27日は68%に上昇。「不支持」は25日の25%から27日は22%に減少した。「作戦の目的は何だと思うか」との質問では「ウクライナ東部の親露派地域の住民を守るため」が26%でトップ。「北大西洋条約機構(NATO)の軍事基地をウクライナに建設させないため」と「ウクライナの非軍事化・ロシアの安全確保」がともに20%で2位だった。
ただ、今回の調査結果が客観的なものかは疑問だ。
露国内では侵攻の約1週間前から、政権の統制下にある国営テレビが「ウクライナは親露派住民を弾圧してきた」などと侵攻を正当化するプロパガンダ(政治宣伝)放送を大々的に実施。政権側は反戦デモも弾圧し、これまでに少なくとも全国約70都市で参加者計約6500人(露人権団体集計)を拘束した。
さらにウクライナメディアなどへのインターネット接続が遮断されている上、露国防省はロシア軍の死傷者数を公表していない。同センターの調査は政権側の統制下にあるとも指摘されている。