ロシアによるウクライナ侵攻で、両国代表団は2月28日、ベラルーシ南東部ゴメリ州で停戦交渉を行い、対話を継続する方針で一致した。両国のメディアは次回協議が2日に予定されていると報じた。ただ、双方の溝は大きく、交渉は難航が予想される。一方、ロイター通信によると、ウクライナ内務省当局者は1日、露軍が首都キエフのテレビ塔を攻撃したと明らかにした。ロシアはキエフや第2の都市、東部ハリコフへの攻勢を本格化する動きを見せている。
交渉は約5時間続いた。露代表団トップのメジンスキー大統領補佐官は「交渉継続で合意した」と発表。ウクライナ代表団のポドリャク大統領府長官顧問も、ツイッターで「交渉は困難だったが、(露側から)強制的な最後通告はなかった」と明らかにした。
プーチン露大統領は2月28日、フランスのマクロン大統領と電話会談し、紛争終結のためには、2014年にロシアが一方的に併合したウクライナ・クリミア半島に対するロシアの主権の承認や、ウクライナの「非軍事化」、「中立化」などが必要だと強調。ウクライナにとっては到底容認できない内容だ。
ウクライナメディアによると、露軍は1日、ハリコフの市街地をミサイルで攻撃し、州庁舎が面する中央広場に着弾した。少なくとも10人が死亡した。インタファクス通信によると露国防省は同日、キエフにあるウクライナ軍の「情報工作拠点」をミサイル攻撃すると警告し、近隣住民に避難を呼びかけていた。住宅地への攻撃を予告した形だ。
これに先立ち米国防総省高官は2月28日、露軍がキエフの北方約25キロに達したと説明。標的を無差別に攻撃する可能性を示した。米宇宙技術企業の衛星画像では露軍とみられる車両の列が約60キロに達した。
また、米国防総省のカービー報道官は同日、プーチン氏が核兵器の運用部隊を戦闘警戒態勢に移行させたことについて「分析と監視を続けている」と述べ、米国の核抑止態勢に自信を持っていると強調した。
バイデン米大統領は同日、日欧など同盟国の首脳らと電話会談し、対露制裁での連携やウクライナ支援を継続することなどを確認した。会談には先進7カ国(G7)や欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、ウクライナの隣国のポーランドやルーマニアの首脳らが参加した。(モスクワ 小野田雄一、ワシントン 渡辺浩生、大内清)