2日の参院予算委員会は、林芳正外相とウクライナのコルスンスキー駐日大使との面会に焦点が当たった。国民民主党は、コルスンスキー氏側がウクライナ情勢の悪化を受けて面会を求めたものの、約1カ月間放置されたとして政府の対応を批判した。林氏は「こういうことがないようにしっかりやっていきたい」と釈明した。
質疑に立った国民民主の川合孝典氏によると、2月28日に同党の議員がコルスンスキー氏と意見交換した際、林氏への面会が約1カ月にわたり実現していないことを伝えられた。同党が外務省に確認したところ「事実」との回答を得たという。
指摘を受けた林氏は、予算委で「私自身は大使からの面会要望は承知していなかった」と釈明した。川合氏は「外務省が(面会要請を)勝手に止めていたとすれば著しい越権行為だ」と語気を強め、林氏は「どういう事情だったかしっかり確認する」と応じた。
岸田文雄首相は「双方の日程などさまざまな事情があったと想像する」と前置きしたうえで、関係国との情報交換の機会を重視する意向を示した。川合氏は「双方の事情というが、ウクライナ側は会いたいと言っている。当方の事情だ」と批判を重ねた。
外務省関係者は産経新聞の取材に「日頃からウクライナ大使館とさまざまなやりとりはしているが、正式に書面で面会の申し入れがあったのはロシアの軍事侵攻があった2月24日だった」と説明し、1カ月放置したとの野党の主張を否定した。
ただ、自民党議員は「口頭での申し入れは1カ月前からあった」と言及したうえで「そもそも書面での申し入れなど待たずに日本側から積極的に調整すべき話だ」と、一連の対応を批判した。
林氏は予算委を終えた今月2日夕、コルスンスキー氏と外務省で面会した。コルスンスキー氏は記者団に対し「面会要請への迅速な対処に感謝する」と謝意を口にした。自民議員は「有事の最中だ。日本との関係悪化を避ける目的もあったのでは」とみる。(石鍋圭)