社説検証

ウクライナ侵攻 各紙が「暴挙」と厳しく批判 産経は「野望の達成を阻め」

2月25日、ウクライナの首都キエフで、砲弾を受けた自宅脇に立つ女性(AP)
2月25日、ウクライナの首都キエフで、砲弾を受けた自宅脇に立つ女性(AP)

ロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻した。自国の勢力圏を保持するため、民主国家を武力攻撃する侵略行為を国際社会は目の当たりにしている。まるで東西冷戦時代に逆戻りしたかのような許しがたい蛮行である。国際秩序は大きな危機に直面している。

早期の和平実現が不可欠だが、ロシアとウクライナが今後、停戦で合意しても、国家の独立を脅かす侵略行為は正当化できない。主要各紙の社説はロシアの軍事侵攻を「暴挙だ」とそろって厳しく批判し、軍隊の即時撤収と西側同盟国の連帯を求める論調で一致した。

産経は2月25日付で「東西冷戦終結後の世界秩序を破壊する歴史的な暴挙である」「主権国家への明白な侵略である。断じて許すことはできない」と糾弾した。そのうえで「極めて強い対露制裁を速やかに発動し、プーチン政権を懲罰して軍事・政治的野望の達成を阻む必要がある」と論じた。

読売も「国連憲章でうたわれた、主権と領土の尊重や紛争の平和的解決の原則を根底から覆し、第2次世界大戦後の国際秩序を破壊するものだ」(25日付)と非難し、「国際社会はロシアに断固たる制裁を加え、重い代償を払わせねばならない」と厳しい制裁を求めた。

朝日は「今回の侵攻が踏みにじったのは隣国の主権とともに、世界の自由と民主主義でもある。強権型の政治が広がる現代世界の危うさが露呈した事例としても、見過ごせない」(25日付)などと警鐘を鳴らした。

「国際社会が認識すべきなのは、世界にとって共通の脅威であるということだ」(25日付)と問題提起した毎日は、「武力によって勢力を拡大しようとする風潮が広がると、民主主義は脆弱(ぜいじゃく)になる」と論考した。

今回の軍事侵攻を受け、岸田文雄政権にロシアとの外交関係を見直すように求める意見も相次いだ。産経は「日本固有の領土である北方領土はロシアに不法占拠されたままだ。そのうえウクライナも侵略したプーチン政権と、まともな平和条約交渉ができるわけもない」(26日付)と強調し、日露共同経済活動と合わせて打ち切りを求めた。

「力による現状変更が許されないのは東アジアだけでなく、国際社会の基本ルールだ」(26日付)と指摘した朝日も「安倍政権が設けた『ロシア経済分野協力担当相』はただちに廃止すべきだ」と断じた。

毎日も「ロシアとの間で北方領土問題を抱えながら、日本は近年、エネルギーや経済の分野で協力関係を強化してきた。しかし、今やその戦略は見直しを迫られている」(27日付)と主張した。

国際社会が結束して対露制裁にあたることも重要だ。日経は「ロシアは天然ガス、石油などの輸出大国であり、制裁する側も大きな影響を受ける。とはいえ、ためらっている猶予はない。多くの国が制裁の輪に加わるよう主要国は努力してほしい」(25日付)と訴えた。

産経は、国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークからロシアを排除する制裁について、早期実行を求めた(26日付)。読売は「ロシアの暴挙に対し、国際社会が断固たる制裁を行うのは当然である」(26日付)としつつ、「各国は資源の値上がりが進む事態に備える必要がある」と注文した。

欧米諸国と欧州連合(EU)は26日、ロシア大手銀行をSWIFTから除外することで合意し、日本も参加を表明した。ロシア産の天然ガスに依存するドイツやイタリアは慎重だったが、ロシア軍の侵攻が拡大する事態を見てようやく除外に同意した。

今回のロシアによる軍事侵攻は、「脱炭素」を理由にして特定の国や地域にエネルギーを依存する危うさを浮き彫りにした。日本もエネルギー安全保障の自立に向け、多様な電源構成の実現に努める必要がある。(井伊重之)

■ロシアのウクライナ侵攻をめぐる主な社説

【産経】

・冷戦後最大の秩序破壊だ/厳しい制裁を即座に断行せよ (2月25日付)

・平和条約交渉を打ち切れ/共同経済活動は即刻中止せよ (26日付)

・安保理の権威は失墜した (27日付)

【朝日】

・秩序と民主を侵す暴挙だ (25日付)

・迎合路線から決別を (26日付)

・撤兵求める国際圧力を (27日付)

【毎日】

・侵略行為を強く非難する (25日付)

・対露戦略の見直しが急務 (27日付)

【読売】

・ロシアに暴挙の代償払わせよ/国連憲章踏みにじる重大な挑戦 (25日付)

・原油高の悪影響を最小限に (26日付)

・侵略の誤りを思い知らせよ (28日付)

【日経】

・世界はロシアの暴挙を許さない (25日付)

・プーチン大統領には停戦しか道はない (27日付)

・世界経済の火種に抜かりなく対応を (28日付)

(2月28日付紙面まで)

会員限定記事会員サービス詳細