新宿歌舞伎町「トー横」補導180件、前年の3倍 警視庁

少年や少女の姿がまばらとなった新宿東宝ビル西側の広場=2月28日、新宿区歌舞伎町
少年や少女の姿がまばらとなった新宿東宝ビル西側の広場=2月28日、新宿区歌舞伎町

家庭や学校に居場所のない少年らが集まる東京新宿・歌舞伎町の「トー横」で、警視庁が昨年1年間に補導した未成年者の数が、前年の約3倍となる約180人に上っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。トー横では昨年以降、買春や傷害などの犯罪が多発しており、警視庁は見回りや補導活動を強化している。

トー横は、歌舞伎町の複合ビル「新宿東宝ビル」周辺の地域を指す言葉で、数年前から行き場のない少年や少女がたむろするようになった。会員制交流サイト(SNS)などを通じてその存在が広がると同時に、少年や少女らが巻き込まれる事件が多発している。

昨年11月にはトー横周辺で暮らしていたホームレスの男性が暴行を受けて死亡した。今年1月には「トー横の王」と呼ばれていた20代の男が女子中学生とわいせつな行為をしたとして逮捕された。

こうした状況の中、警視庁は私服警官を投入して見回りや補導活動を強化。昨年1年間、トー横周辺で深夜徘徊(はいかい)や、飲酒・喫煙などによって補導した未成年者が約180人に上ったという。活動強化前の前年の補導人数からは、約3倍に増加した。

捜査関係者によると、補導活動は定期的に何度も行っているものの、子供に無関心な保護者も多く、居場所がないために戻ってきてしまう少年や少女も少なくないという。警視庁幹部は「学校や行政と連携し、地道に補導活動を継続していく」と話している。

集団でホテル宿泊、状況把握困難に…

2月最終日の28日午後11時ごろ、トー横界隈(かいわい)の少年や少女が主に集まる新宿東宝ビルの西側の広場を歩くと、その姿はまばらだった。昨年夏ごろまで、夜になると、連日、少年や少女の集団で埋め尽くされていた光景は一変していた。

集団で飲酒などをしながら雑談に興じる輪も、ほとんどなくなった。連日、気温が10度を下回る寒さ。付近で清掃などのボランティア活動を行っている20代の男性は「暖かい時期はもっといたが、さすがに今、外にずっといるのは寒いのかもしれない」と理由を推測する。

だが、警視庁幹部は「少年や少女がトー横からいなくなったわけではない」と指摘する。補導した少年や少女によると、寒さをしのぐために周辺のホテルに集団で宿泊しているため、人数が減ったように見えるのだという。

少年や少女は費用を抑えるため、一人が代表してチェックインした部屋に数人で宿泊しているとみられている。警視庁幹部は「今のホテルは入り口に設置された機械でチェックインができるほか、深夜になると従業員は常にフロントに立たなくなる。未成年者や大勢でも気づかれずに宿泊できてしまう」と話す。

気温が上昇するこれからの時期は、広場に少年や少女が戻ってくる可能性もある。ただ、今の状態が続くと、一度客室に入ってしまった少年や少女らに、警視庁が介入するのは難しく、その状況を、なかなか把握しづらいという。

警視庁は警戒感を強めるとともに、少年や少女らの動向を注視している。(根本和哉)

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