松野博一官房長官は2日の記者会見で、ウクライナがロシアとの戦闘に参加する「義勇兵」を募ったことについて、「目的のいかんを問わず渡航をやめていただきたい」と呼びかけた。渡航しようとするケースには、個別の注意喚起などを検討する考えも示した。
松野氏は武力衝突が続くウクライナ全土には退避勧告を発令していると指摘。義勇兵志願者の出国を阻止するため、法令を適用することに関しては「事案に応じ捜査機関が法と証拠に基づき判断する」と述べた。
また、松野氏は在日ウクライナ大使館に対し、義勇兵募集について「申し入れ」を行っているとした。
同大使館はロシア軍侵攻を受け、外国人で構成する「義勇兵」への参加を公式ツイッター上で呼びかけ、1日時点で元自衛官ら日本人約70人が志願した。投稿は2日付で削除され、代わりに人道面での支援を訴える内容に切り替わっている。
民間人の紛争参加をめぐっては平成26年、学生らがイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の戦闘員になるためシリア渡航を計画したとして、警察当局が刑法の私戦予備・陰謀罪を適用。旅券を没収するなどして渡航阻止する事件があった。
同罪は交戦権が認められた国家以外の民間人などが外国と私的に戦闘するため、兵士や兵器の調達、情報収集を行った場合などに適用される。