儒教文化圏である北東アジアは「一族主義」の伝統が色濃い。「公」よりも「私(一族)」を重んじるあまり、利権やカネ、ポストの恣意(しい)的な集中を生み、腐敗・不正につながりやすいのは事実だろう。
中国が共産党政権になった今も高位級の幹部らがケタ違いの不正蓄財で相次いで摘発されたり、韓国の歴代大統領が退任後に〝塀の中〟へ送られたりしているのが、その証左である。
日本統治下の台湾、朝鮮の司法制度整備は、それまでの儒教的な「人治」から「法治」への転換を図るものだったと言っていい。両地とも、高等法院―覆審法院(部)―地方法院の三審制とそれに対応する検事部局が設けられ、近代的な裁判が実施されたのである。