悩みを共有、オンラインサロンにクリニック元患者らが参加 大阪・北新地ビル放火

オンラインサロンで参加者に「みんなで支え合おう」と呼びかける川田祐一さん=1日
オンラインサロンで参加者に「みんなで支え合おう」と呼びかける川田祐一さん=1日

昨年12月に25人が犠牲になった大阪・北新地の放火殺人事件で、現場となった「西梅田こころとからだのクリニック」の元患者らが交流し、互いの悩みを共有し合うオンラインサロンが1日、開設された。心の不調や厳しい転院先探しに直面する元患者らの語り合いの場を作ろうと、大阪の障害者支援企業が企画。この日は1回目のサロンが開かれ、事件で亡くなったクリニックの西澤弘太郎院長(49)の妹(45)も参加した。

サロンを開設したのは、大阪市北区の障害者支援企業「障害者ドットコム」代表の川田祐一さん(49)。事件後にクリニックの患者やメンタルに不調をきたした人たちから相談を受けたことがきっかけになった。

キッチンのガスコンロで炎が燃えているのを見たり、煙の臭いをかいだりすると、事件を連想して、激しい動悸(どうき)がする。心療内科に足を踏み入れようとすると、同じような事件が起こるのではないかと足がすくむ-。発生から2カ月以上がたった今も、多くの人が事件の影響により精神的に不安定な状況に置かれていた。

また、クリニックの患者には新たな通院先探しという課題も重くのしかかった。クリニックに通っていた40代男性は7カ所の医療機関を回ったが、「相性の合うクリニックにはめぐりあえず、神経をすり減らす思いだった」。1カ月半後にようやく見つけたが、その間も事件のことが突然頭をよぎり、事件前は回復しつつあった体調がみるみるうちに悪化した。

川田さんはそんな声に耳を傾けながら、ほとんどの人が胸の内の苦しみを誰にも相談できずにいると痛感。気軽に語り合える場を作ることにした。「人と人のつながりによって、社会的に孤立する人を減らしたい」と力を込める。

サロンでは、参加者が自身の悩みなどを打ち明けるほか、医師や心理士らも支援者として加わり、病院や福祉サービスの情報なども共有する。クリニックの元患者だけでなく、事件で不安を感じる人らも幅広く参加することができる。

西澤院長の妹は川田さんの取り組みを知り、「関係者の一人として、不安を持つ人の助けになりたい」と運営側としてサロンに参加。出席者らに「事件でつらい思いをされている人はたくさんいると思う。何かできることがあればと思っている」と呼びかけた。

サロンは今後、月に一度以上の開催を予定。問い合わせは同社(06・6940・7739)。(中井芳野)

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