中立国スイスが対露制裁 北欧の中立2カ国はウクライナへ武器供与

ロシアのプーチン大統領(AP=共同)
ロシアのプーチン大統領(AP=共同)

【ヘルシンキ=板東和正】スイス政府は2月28日、ロシアのプーチン大統領らの資産凍結など欧州連合(EU)と同じ内容の対ロシア制裁を科すと発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、永世中立国のスイスがEUの動きに同調する対応に踏み切った。

スイス政府の声明によると、同国はEUが科した制裁の適用を決め、プーチン氏やラブロフ外相らの資産の凍結を決定した。プーチン氏に近い複数の個人の入国を禁止するほか、人道・医療・外交目的を除き、スイス領空にロシアの全ての航空機が乗り入れることも禁じる。

スイス政府は声明で「平和と安全の擁護と国際法の尊重は、民主主義国家であるスイスが欧州の近隣諸国と共有し、支持する価値観だ」と指摘。「ロシアが欧州の主権国家に対して前例のない軍事攻撃を行ったことが、従来のスイスの制裁に対する立場を変える決定打となった」との見解を示した。

スイスのカシス大統領は「われわれは西側諸国の価値観の側に立っている」とした上で、同国の中立な立場は損なわれていないと強調。ロシアとウクライナの停戦交渉が決裂した場合、仲介する用意があるとしている。

また、スイス政府は28日、ウクライナからの難民支援でEUの先頭に立つポーランドに約25トンの救援物資を送る方針も示した。

一方、北欧フィンランドの政府は2月28日、ウクライナにライフル銃や対戦車兵器などの武器を供与すると表明した。非同盟国で武力紛争で中立政策をとってきたフィンランドの今回の対応を受け、ロイター通信は「政策の転換を意味する」と指摘した。同じく中立政策をとってきたスウェーデンも27日、ウクライナに対戦車兵器5000基を供与すると発表していた。

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