北川信行の蹴球ノート

100日超中断のWEリーグ、試合数少なすぎないか

皇后杯全日本女子選手権で初優勝を果たした三菱重工浦和イレブン=サンガS(ⓒJFA)
皇后杯全日本女子選手権で初優勝を果たした三菱重工浦和イレブン=サンガS(ⓒJFA)

サッカー女子プロの「Yogibo WEリーグ」が3月5日に再開する。昨年12月4日に予定されていた第11節が、新型コロナウイルスのオミクロン株への政府対応を受け、オランダ遠征から帰国した女子日本代表「なでしこジャパン」メンバーが隔離措置となったことにより延期され、ほとんどのチームにとっては第10節(11月20、21日)以来のリーグ戦となる。

昨年9月に始まり、今年5月末に終わる「秋春制」のリーグながら、冬の中断期間は、その間にシーズンオフを迎えて2月18日に新シーズンが始まった「春秋制」のJリーグよりも長い100日超。12月25日~1月5日にWEリーグ勢が登場する皇后杯全日本女子選手権の4回戦、準々決勝、準決勝があったとはいえ、試合間隔が空きすぎている感は否めない。

皇后杯決勝、選手の動き重く

2月27日に京都府亀岡市のサンガスタジアムbyKYOCERAで行われた皇后杯の決勝。三菱重工浦和レッズレディースに0-1で敗れたジェフユナイテッド市原・千葉レディースの猿沢真治監督は「(1月5日の準決勝後にチームづくりが)一回途切れてから、もう一回(つくり直す)というので難しかったのはあった」と話した。皇后杯で決勝に進んだ千葉と三菱重工浦和ですら準決勝と決勝の間の約50日間、公式戦がまったくなかったからだ。

ピッチでひたむきに奮闘した選手たちの責任ではないが、これだけ試合間隔があくと、プレーの鋭さや連係に課題が出てくるのは明らか。女子サッカー日本一を争う皇后杯の決勝にしては、両チームとも選手の動きは重かったように思う。

あるWEリーグ加盟クラブの関係者は「そもそもリーグの試合数自体が少なすぎる」と指摘する。日本初の女子プロサッカーリーグと銘打ったWEリーグの初年度は昨年9月に開幕したため、各チームとも、プレシーズンマッチは数試合あったものの、昨年1年間で戦った真剣勝負のリーグ戦はたった9~10試合に過ぎない。その関係者は「これではリーグが世間に浸透するのは難しいし、日本の女子サッカー全体のレベルにも影響を及ぼしかねない」と危機感をあらわにする。

シーズン全体で考えても、冬季に約3カ月中断し、再開後の今年3~5月に10~11試合戦うだけ。加盟しているのが11チームのため、ホームアンドアウェー方式の2回戦制だと、各チームとも1シーズン20試合となるのは当たり前だが、1週間に1試合のペースで割り当てても、1年のうちの半分以上の週で試合がない計算になる。さらに言えば、そのうちホーム試合は半数の10試合。すると、地元で開かれる試合は1カ月に1試合もないことになる。このような状況では、地域にチームを根付かせるのは難しいのではないか。

認知度は「26%」に上昇

たとえば、2021~22年の欧州女子チャンピオンズリーグ(CL)で優勝したバルセロナ・フェメニは同シーズンに18チームで構成された国内リーグで34試合(33勝1敗)を戦い、欧州女子CLで5試合、コパ・デラ・レイナ(女王杯)を3試合、スーパーカップを1試合行った。欧州女子CLがトーナメント方式に変更となるなど、新型コロナ禍の影響で試合数が減っているのにもかかわらず、1シーズンでWEリーグ勢の約2倍の43試合を戦っている。この差は大きいと言えるだろう。

開幕後の2021年10、11月にWEリーグが実施した「女子プロリーグに関する調査」によると、WEリーグを「知っている」「聞いたことがあるような気がする」と答えた人の割合が前年の16%から26%に上昇。「WEリーグを観戦したい」と答えた人は前年の16%から18%に微増していた。こうした結果を踏まえ、1月26日の理事会後の記者会見で岡島喜久子チェアは「認知度は上がったとはいえ、観客増につながっていない。JリーグのファンをWEリーグにつれてくるようなことをしていきたい」と話し、野仲賢勝専務理事も「26という数字をどう見るかが大切だと思う。これで満足はしていない。もっと知ってもらうために何ができるか考えていきたい」と強調した。

報道陣から試合数の少なさに関する質問もあり、岡島チェアは「カップ戦はしたいと思っているところ。予算が追い付かない。お金をかけない形でできないか検討中」と回答。野仲専務理事は「強化の観点、興行の観点、露出の観点から試合が必要という論議をしてきた」と話した。

セントラル方式のカップ戦を

では、どうすればいいのか。移動を伴う試合が増えるとコストがかかるのであれば、セントラル方式のカップ戦はどうだろう。個人的な理想をいえば、Jリーグがオフに入る1~2月に温暖な九州で開催できれば、露出もコンディションも担保できるのではないか。九州にはWEリーグ加盟チームがまだ現れていないが、大会をきっかけに機運が盛り上がるかもしれない。また、5月のリーグ戦が終わってから、東北や北海道で別のセントラル方式のカップ戦を立ち上げるのもいいように思う。

仮に、加盟チームの空白地帯や少ない場所での大会開催だと滞在費がかかりすぎるのであれば、過半数の6チームの本拠地がある関東で開催するのはどうか。それらのチームはそれぞれの本拠から試合会場に通えるし、少数派となる遠征チームの滞在費をリーグが負担する形でも、不公平ではない気がする。また、どのチームのホームでもない〝中立地〟となり得、アクセスが良く観客が訪れやすいスタジアムも関東には多くある。

さらにいえば、なでしこジャパンの活動期間中でもJリーグのYBCルヴァン・カップと同じように、カップ戦なら行いやすい気がする。仮に今年1~2月にインドで行われた女子アジア・カップのときのように代表選手が抜けても、そこで出場機会を得た若手が脚光を浴びれば、チームにとってはプラスだろう。

今年5月で1年目のシーズンが終わるWEリーグ。2022~23年を戦う2季目は今季と同じく11チームで戦うことが決まっているが、開幕時期はまだ明らかになっていない。23年にはなでしこジャパンが復権を期す女子ワールドカップ(W杯)が7~8月にオーストラリアとニュージーランドで開かれる。今季以上に綿密なスケジューリングが求められる。

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