【ワシントン=渡辺浩生】米国防総省高官は2月28日、ウクライナへの全面侵攻から5日目の戦況について、ロシア軍は首都キエフの制圧を目標に多方向から進軍を続けていると語った。首都包囲を狙っているとみられる。ウクライナ側は「持続的で強固な反撃」を続け露軍を悩ませているとしたが、ロシア側が態勢を整え今後は、標的を選ばずより激しい攻撃に乗り出す可能性を示した。
高官によると、キエフに向けロシア軍は過去24時間で約5キロ進軍し、北方約25キロに達した。一部の部隊が燃料不足に悩まされるなど予想以下のペースに「いらだっている」としたが、「彼らは課題から学び、適応し、克服しようとしている」とも指摘。戦術を再評価し、従来の軍事目標から標的をより無差別に拡大する可能性を示した。
高官によると、5日間の空爆で発射されたミサイルは380発に達した。ロシア側はなお制空権を確保できておらず、ウクライナ側の防空システムも機能を続けている。制空権をめぐる争いは激しさを増しているという。
一方、民間衛星の画像により、約27キロに及ぶ戦闘車両の車列がキエフの郊外で確認されたとの米CNNなどの報道について、国防総省のカービー報道官は28日の記者会見で、首都制圧というロシア側の意図に沿った動きとの見方を示した。
カービー報道官は、ロシアのプーチン大統領が核兵器の運用部隊を戦闘警戒態勢に移行させたことについて、「分析と監視を続けている」と述べるにとどめ、米国の核抑止態勢と同盟国を防衛する能力は自信を持っていると強調した。