ベラルーシで改憲成立へ 核配備容認 ルカシェンコ大統領の実権保持長期化か

ベラルーシのルカシェンコ大統領(AP=共同)
ベラルーシのルカシェンコ大統領(AP=共同)

【モスクワ=小野田雄一】ウクライナに侵攻したロシアの同盟国、ベラルーシで27日、憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、中央選管は28日、暫定開票結果として約65%が改憲を支持したと発表、改憲の成立が確実となった。改憲は現行憲法では否定してきた核配備を容認するほか、「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領の長期的な実権保持を可能にする内容。同国へのロシアによる核配備や、人権侵害の深刻化が懸念される。

改憲案は、自国を「中立の非核地帯を目指す」とする従来の条文を削除。これまで無制限だった大統領の任期(1期5年)を最大2期に制限する一方、国民の代表でつくる「全ベラルーシ人民会議」を「民主政治の最高代表機関」として規定。国家の基本方針を定める役割を与え、大統領を罷免する権限も付与する。

ベラルーシの中央選管は政権と実質的に一体で、改憲の成立は確実視されてきた。一連の承認手続きを経て、近く改正憲法が施行される見通し。タス通信によると、中央選管は27日、同日夕時点での投票率は約78%だったと発表した。

改憲後は、ルカシェンコ氏が大統領を退任し、全ベラルーシ人民会議の議長に就任する可能性が指摘される。ただ、退任せず、大統領を続ける可能性もある。

同国では2020年8月、ルカシェンコ氏の6選が発表された大統領選に抗議する大規模デモが発生。政権はデモを力で鎮圧する一方、反体制派や非政府系メディアを弾圧し、壊滅させた。ルカシェンコ氏はデモを受け、「大統領の権限を縮小する改憲を行い、改憲後は大統領を退任する」と表明。政権側が改憲案の作成を進めてきた。

反体制派は改憲を「ルカシェンコ氏の政治的延命策だ」などと批判している。

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