ウクライナに侵攻したロシアに対する日米欧の経済制裁強化を受け、ロシアの通貨ルーブルが28日、最安値に急落した。ロシア中央銀行は通貨防衛のため政策金利を大幅に引き上げたが、ルーブル建て取引には有価証券の販売禁止など既に支障が生じており、市場には警戒感が広がる。財務省と金融庁、日本銀行は同日の会合で、先進7カ国(G7)で連携して市場の安定化を図る方針を確認した。
財務省の神田真人財務官は会合後、「ロシアに対し最大のコストを科すよう、G7をはじめとする国際社会と緊密に連携する」と述べ、制裁の実効性を高め圧力を強める考えを示した。
実際、28日の外国為替市場ではロシア経済の先行き懸念からルーブルが売り込まれ、対ドルで一時1ドル=110ルーブル前後と先週末から約30%の暴落となった。ロイター通信によると過去最安値という。これを受けロシア中銀は同日、主要政策金利を10・5%引き上げ、20%にすると決めた。
一方、欧州中央銀行(ECB)は28日、ロシア最大手銀行ズベルバンク傘下のオーストリアの銀行が、預金流出に伴い経営破綻する可能性があると発表した。
制裁の波紋は株式市場も揺さぶった。
28日の東京株式市場で日経平均株価は乱高下し、下げ幅が一時200円を超えた。ロシアで事業を展開する日系企業の収益性悪化を懸念する見方が広がり、ロシア国営ガス大手主導の液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」に出資する三井物産などの株価が下落した。
その後はロシアとウクライナの停戦協議への期待感から買いが進み、日経平均は前週末比50円32銭高の2万6526円82銭まで回復したが、ウクライナ情勢をめぐり今後も神経質な値動きが続きそうだ。