露SWIFT排除、影響日本にも 原油、小麦価格上昇で値上げさらに

ウクライナ侵攻をめぐり米欧日が国際的な決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの金融機関を排除するという〝返り血〟覚悟の制裁を決めたことで、昨年後半から値上げが続く身近な製品の更なる値上げが現実味を帯びてきた。ロシアは原油や小麦などの世界的な輸出国で、追加制裁により今後輸出が滞り、市場価格が上昇する可能性が高まったからだ。ロシアによる軍事侵攻は、約8000キロ離れた日本の暮らしにも影響を及ぼし始めている。

昨年から値上げが相次いでいる主要因は新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴う急激な需要の増加だ。特に原油や小麦などの穀物の価格上昇の影響は大きい。原油は電気料金や物流コスト、包装材など広範囲に影響がおよび、穀物も幅広い加工食品に使われる。2月に入ってからも、カップ麺や洗剤など身近な商品の値上げの発表が相次いでいる。

需要に供給が追い付かない状況に、激化するウクライナ情勢が追い打ちをかける。資源大国のロシアの動向が不透明な中、原油や穀物の安定供給への懸念が広がり、先物市場の価格も上昇傾向が続いている。

17日に家庭用食用油の「日清サラダ油」など23品目で値上げを発表したばかりの日清オイリオグループの担当者も「ウクライナ情勢悪化が食用油の原料である大豆など穀物全般の価格上昇に波及しないか心配している」と話す。同社の値上げ発表は令和3年以降で5回目だ。ただでさえ、値上げをしても数カ月後には再び値上げする異常事態で、状況の更なる深刻化に頭を抱える。

足元ではガソリン価格や電気代なども上がり続けており、みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では令和4年は前年に比べ平均的な年収の世帯で約5万4千円の負担増になるという。試算にはウクライナ情勢の影響もある程度は織り込まれているが、嶋中由理子エコノミストは事態の悪化で「負担は試算を上回る可能性がある」と指摘。特に生活必需品の価格が上がっていることから「節約は難しく、低所得者ほど影響は深刻だ」と話す。

岸田文雄政権は、経済の好循環を生み出すため、企業に積極的な賃上げを求めているが、物価上昇に見合うだけの賃上げが実現できなければ、個人消費の落ち込みは必至だ。コロナ禍からの回復を目指す日本経済の先行きは不透明感を増している。(蕎麦谷里志)

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