主張

ウクライナ侵攻 安保理の権威は失墜した

ロシア軍によるウクライナ侵攻で、多数の住民が命の危険にさらされている。この危機的な事態に対して、国連安全保障理事会が何ら手を打てないというのは、一体、どうしたことか。

国連憲章は、安保理が国際の平和と安全の維持に主要な責任を負うと定め、軍事的強制措置の決定を含む幅広い権限を与える。

本来ならば、ロシアに撤退を促すのは安保理の役割のはずだ。常任理事国であるロシアの拒否権行使で身動きが取れないというのであれば、何のための安保理か。その権威は、地に落ちたと言わざるを得ない。

ウクライナ危機を議論した23日の緊急会合開催中、ロシア軍の侵攻開始が伝えられた。「攻撃をやめてほしい」と語ったグテレス国連事務総長の訴えはロシア側に完全に無視された。

25日には、米国などが提出したウクライナ攻撃の非難決議案が採決にかけられたが、ロシアの拒否権行使で否決された。

通常、常任理事国が当事国となっている問題は安保理討議の俎上(そじょう)に載らない。拒否権行使によって必ず葬られるからだ。

だが、今回は、日本を含む約80カ国が決議案を支持する共同提案国となった。15理事国のうち、賛成は11、棄権が中国を含む3にとどまり、ロシアの孤立を印象付けることにはなっただろう。

拒否権行使は織り込み済みだというのなら、米欧や日本は別の手立てを講じる必要がある。総会の場で平和のための結集決議を行うなど、あらゆる機会を捉えてロシアの非を鳴らすべきだ。

これまでも安保理は、北朝鮮の核・ミサイルへの対応などで米欧と中露が対立し、意見がまとまらないことが多かった。この問題を打開する努力を怠ったことが、今回の機能不全につながったのではないか。

北朝鮮問題では、安保理とは別に米欧や日本が個別の声明を発表してきたが、ウクライナ侵攻のような重大事態は、それでは通用しないと知るべきだ。

そもそも、常任理事国である米英仏露中は第二次大戦の戦勝国であり、この5大国に平和を主導させようとしたのは、はるか昔の発想である。プーチン露大統領は今回、大国主導の平和という国連の発想自体もぶち壊した。安保理は抜本的に変わらねばならない。

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