サッカーJ1・横浜MのFW仲川輝人が、今季開幕から2戦連続で計3得点して快調に滑り出した。J1制覇を果たした2019年には15ゴールを挙げて得点王と最優秀選手賞(MVP)に輝いた。続く20、21年は故障もあり、いずれも2得点と不完全燃焼だった。苦しい時間を過ごした29歳は今季を勝負の年と位置づけ、「2桁得点と2桁アシストという目標は達成できる」と完全復活を誓っている。
期待をふくらませる船出になった。開幕戦だった19日のC大阪戦で1得点、23日に行われた昨季王者の川崎戦では2得点して勝利に導いた。C大阪戦と川崎戦の1点目はともにゴール前へ詰めてクロスを押し込んだ。川崎戦の2点目は芸術的なミドルシュートで「練習でも入ったことがないくらい。10回に1回のシュート」とご満悦だった。
復活への手応えはある。C大阪戦後は「得点王になったときのように、自然とゴール前に入っていった。点を取れるときは、ボールがくるところにポジショニングできている。取り戻してきた、点を取っていたころの感覚を鋭くしていきたい」と明るかった。
昨季終了後、多くの主力がチームを去った。昨季23ゴールで得点王になった前田が欧州へ、攻守の要だった扇原は神戸へ移籍した。さらに、守備の柱だったチアゴマルチンスは米国、ティーラトンは母国のタイに新天地を求めた。
ダメージを補うべき選手の一人が仲川だ。得点王とMVPに輝いた19年に33試合で2796分だった出場時間が、20年は18試合で939分、21年は28試合で1452分と激減した。相手を震え上がらせたドリブルや、両足から放つ高精度のシュートは鳴りを潜め、徐々に存在感を失った。
前田が抜けた穴を埋める役割が求められる。前田は点取り屋に加え、爆発的なスピードを生かしたプレスで守備のスイッチを入れる役目も担っていた。「チームを助けなければいけないという責任感は強くなっている」と、勝利に貢献する仕事に意欲を燃やす。
リーグ戦初ゴールは20年が13試合目、21年は26試合目だった。今季は出遅れなかった。「チーム全体として目指しているサッカーを表現しようとしている」。横浜Mは高いボール保持率で試合を支配するサッカーを掲げる。働き盛りの得点源が、打倒川崎の最有力候補を牽引(けんいん)する。(運動部 奥山次郎)