首都キエフで市街戦 ウクライナ軍、露軍に徹底抗戦

26日、キエフで被弾した高層住宅(ロイター=共同)
26日、キエフで被弾した高層住宅(ロイター=共同)

【モスクワ=小野田雄一】ロシア軍によるウクライナ侵攻は26日、各都市への攻撃が続き、首都キエフでは一部が中心部近くまで侵入した。ウクライナ軍が激しく抵抗し、ロシア軍に一定の損害を強いているとみられる。双方は25日、停戦交渉に意欲を表明し、実施への調整も進められている。ウクライナ沖では日本企業所有の貨物船が戦闘に巻き込まれて損傷した。

ウクライナ大統領府は25日、「東部ハリコフや北東部スムイ、南部方面で激しい戦闘が続いている」と発表。同国軍高官は同日、ロシア軍の戦車80台やヘリ7機、航空機10機などに損害を与えたと発表した。26日未明にもキエフや東部マリウポリなどへのロシア軍のミサイル攻撃が続いた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、「ウクライナは侵略者と戦い、自国と欧州の自由を守っている」と表明。友好国から追加の軍事支援が近く届くと明かし、国民を鼓舞した。

一方、露国防省は26日までに、東部で部隊が前進したほか、スムイと北部コノトプを包囲したと発表。ミサイルなどで14の軍用飛行場を含む計821施設を無力化したとした。露揚陸部隊が25日夕、南東部メリトポリに入り、管理下に置いたとも発表した。

米CNNなどによると、キエフには先遣隊とみられるロシア兵が侵入。ウクライナ内務省は26日、「路上で激しい戦闘が起きている」とし、市民に屋内退避を呼び掛けた。インタファクス通信によると、ウクライナ保健省は26日、侵攻で子供を含む国民198人が死亡し、1150人超が負傷したと明らかにした。

米欧はロシアがキエフを陥落させ、ウクライナの体制転覆を狙っているとみている。ただ、ロイター通信によると、米当局者は25日、「ロシア軍は予想以上の抵抗に遭い、進軍速度が下がった」と指摘。ロシアの作戦が想定通りに進んでいない可能性を示した。

一方、黒海に面した南部オデッサの港付近で25日、パナマ船籍の貨物船「ナムラ・クイーン」が砲撃で損傷した。愛媛県今治市の海運会社は26日、自社所有の船だと明らかにした。約20人の船員は大半がフィリピン人で、1人が負傷した。命に別条はないという。

双方が25日に意欲を表明した停戦交渉について、ウクライナ高官は「時期と場所を調整中だ」と発表。露外務省も調整が行われていることを認めている。

会員限定記事会員サービス詳細