ロシアによる早期支配観測で市場反発

東京証券取引所=東京都中央区
東京証券取引所=東京都中央区

25日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反発した。ウクライナ情勢は悪化の一途だが、前日の米国市場で対立激化への過度な警戒感が緩み買い戻しが優勢となった流れを引き継いだ形で、アジア株も上昇した。先進国の追加制裁が想定よりも抑制的だったことから、ロシアの実効支配で早期に決着するとの見方が広がったとの指摘もある。

日経平均は6営業日ぶりに反発し、前日比505円68銭高の2万6476円50銭で取引を終えた。前日までの5営業日で1500円近く下落した後でもあり、割安銘柄に買いが入った。

先進7カ国(G7)が公表した追加の対露制裁では国際的な貿易や金融取引の資金決済ネットワークからロシアを遮断する強硬策が盛り込まれず、安心感が広がった。ロシアを決済網から締めだせば原油や天然ガスの取引が滞り、一時1バレル=100ドルを超えた原油価格がさらに高騰する。インフレに悩む先進国にも〝返り血〟が避けられない。

一方、北大西洋条約機構(NATO)はウクライナへの部隊派遣を否定している。米国は覇権を争う中国と相対する中で、ロシアとの二正面作戦に踏み切る余裕はないのが実情だ。既にロシア軍の攻撃が始まった首都キエフの陥落を防ぐ具体的な手立ては乏しい。

SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは「足元の事態はウクライナの〝泣き寝入り〟でいったん収束すると、市場で意識されたのではないか」と推測している。

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