プーチン氏の狙いは「傀儡政権」 国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏

国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏
国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏

ウクライナに侵攻したロシア軍は、首都キエフに迫っている。緊迫が続くウクライナで事態は今後、どのように展開していくのか。関西在住のウクライナ人国際政治学者、グレンコ・アンドリー氏(34)は「プーチン大統領の狙いはウクライナの全土、もしくは(西部を除いた)半分以上の占領だ」と分析し、「大きな戦争になる」と警戒感を強める。

ウクライナメディアなどによると、ロシア軍の戦車部隊は首都キエフに迫っている。当初、東部での局地戦となる可能性が高いとみていたグレンコ氏は「すぐに全面的な侵攻をしてくるとは」と驚きを口にする。

なぜウクライナ全土に攻撃が広がっているのか。そしてプーチン氏の狙いは何か。グレンコ氏は「ウクライナを占領し、傀儡(かいらい)政権を作ることだ」と明言。ウクライナを何らかの形で併合し、「国家連合のような体制を作り、(プーチン氏は)その大統領になることを目指すだろう。近隣諸国を征服する意図は明白で、まずは一番肝心なウクライナを手に入れたいのだろう」と指摘する。

緊迫していた情勢は、ウクライナ東部で親露派武力勢力が実効支配していた2地域の「独立」承認を機に、一気に動いた。グレンコ氏は「独立」の承認が侵攻の下準備にすぎなかったとし、「いきなり国境を越えて侵攻したのではなく、『独立国』から派兵要請を受け、その要請に応えたというのがプーチン氏の論理だ」と指摘。「戦後の国際秩序を根本的に覆すような世界平和への挑戦ではないか」と非難した。

欧米ではロシアへの追加制裁を強化する動きが加速する。米国のバイデン大統領はホワイトハウスで演説し、プーチン氏を「侵略者だ」と切り捨てた。

グレンコ氏は日本政府に対しても、「ロシアとの貿易を遮断し、最大限の経済的・技術的制裁を加え、侵略について最も強い言葉で非難する必要がある」と求めた。(藤木祥平)

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