岸田首相記者会見詳報

(3=完)「国際法違反を抑制へ」「関係国もエネルギーは制裁対象外」

会見する岸田文雄首相=25日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
会見する岸田文雄首相=25日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

=(2)から続く

--原油高対策で激変緩和措置の大幅拡充と石油備蓄にも言及したが、国会などではトリガー条項のその凍結解除も含めた検討というのを発言していた。この点についてはどう考えているか

「原油の価格高騰への対応策として、まずは本日申し上げた燃油価格の激変緩和事業の大幅な拡充強化により小売価格の急騰を抑制していきたいと考えています。そして、今後さらに原油価格が上昇し続けた場合の対応については、国民生活、あるいは企業活動への悪影響を最小限に抑えることができるように、何が実効的で有効な措置かという観点から、あらゆる選択肢、これ排除することなく、政府全体でしっかりと検討し、対応していきたいと考えております」

--一番懸念されるのは限定的であっても核が使用されるかもしれないことだ。プーチン露大統領と長らく友好関係にある安倍晋三元首相を派遣するとか、経済制裁の効果を実効的にするために中国に働きかけるとか、G7(先進7カ国)の共同歩調以外のところで独自の施策というのは考えているか

「まず今回のウクライナ侵攻、これは国際法違反であり、国連憲章にも反する行為であり、これは到底容認することはできないということで、強い非難を表明させていただいています。そしてG7、国際社会と協調する形で、制裁措置等も明らかにさせていただいています。

今後についてですが、今ご指摘があったようなことについては、何も予定はありませんが、今後については、状況の変化をしっかり踏まえながら、連携は大事にしながら、何が適切なのか、これをこの状況の変化に応じて機動的に考えていく、こうしたことは大事だと思っております。今言えることは以上であります」

--ロシアのウクライナ侵攻は台湾海峡を取り巻く情勢にも影響を与える見方が出ているが、どう考えるか。尖閣諸島(沖縄県石垣市)や北方領土をめぐる問題にどう影響すると考えるか

「まず今回のウクライナ侵攻については、この欧州のみならずアジアを含む国際社会の秩序に関わる問題であるということを再三申し上げています。そしてこのアジアを含む、他の地域においても、力による現状変更、これは決して許されないんだというこの意思をG7をはじめとする国際社会と連携する形で、ともに強く発信していくこと、これが重要であると思います。

こういった姿勢を示すことが、今後アジアを含む他の地域においても今回のような国際法違反、あるいは国連憲章に反するような行為を抑制することにつながると信じます。ぜひこうした連携のもとでの発信をしっかり行っていきたいと考えます」

--サハリンで日本の商社が露政府企業と共同でガス田開発をしている。結果として日本の金が露軍の資金源になっている。共同事業を止めるつもりがあるか

「今回の制裁については、先ほど来、申し上げているように、米国、あるいは、EU(欧州連合)をはじめとする関係国としっかり調整を行い、連携をした上で内容を確定をしています。米国をはじめ関係国においても、このエネルギー分野は、制裁対象から外れているということであります。こうした状況も踏まえて、わが国としても対応を決定したということであります。

今後については状況の変化を踏まえながら、何よりも関係国との連携を重視しながら具体的に考えていきたいと思っております。以上です」

=(完)

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