国民的ロックバンド「サザンオールスターズ」のリーダーで、神奈川県茅ケ崎市出身の桑田佳祐さん(65)が中学時代に足しげく通ったことで知られる同市内の調理パン店「清月」がこの夏、65年の歴史に幕を下ろす。一人で店を切り盛りする高橋ツナ子さん(87)が高齢を理由に引退を決めたためで、サザンファンのみならず、周辺住民など多くの人から閉店を惜しむ声が上がっている。
閉店を決めたことについて高橋さんは「頭もしっかりしていて、きちんとあいさつできるうちに閉めることにしたの」と話す。最終営業日と決めた7月15日は高橋さんの88回目の誕生日で、64年前に同店が開店した日でもあるという。
ありあわせの材料
茅ケ崎駅前から海岸に向かう「雄三通り」(旧「上原謙通り」)。同じく地元出身の俳優、加山雄三さんにちなむこの通りに高橋さん夫妻が「清月」を開いたのは昭和33年のことだ。高橋さんは「当時は舗装もしていない道。周りは麦畑が広がる、何もない場所だった」と振り返る。今は見上げるほど高い湘南海岸沿いの松林も「まだ腰丈ほどの高さだった」と話す。