INPEX、脱炭素5分野に1兆円投資 12年まで

長期戦略や新たな中期経営計画の発表記者会見に臨んだINPEXの上田隆之社長=2月9日午後、東京都千代田区(森田晶宏撮影)
長期戦略や新たな中期経営計画の発表記者会見に臨んだINPEXの上田隆之社長=2月9日午後、東京都千代田区(森田晶宏撮影)

石油・天然ガスの開発や生産を主に手掛けるINPEXは、再生可能エネルギーや、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素・アンモニアなど、脱炭素関連の5つの分野に、令和12年までの約9年間で最大1兆円程度を投資する。この間に4兆円前後を見込む成長投資の約4分の1の規模に相当する。さまざまな種類のエネルギーを安定供給する体制を構築し、事業の裾野拡大や稼ぐ力の強化を図る。

「『ネットゼロカーボン(温室効果ガス排出量実質ゼロ)』を、できるだけ現実に変えていく」。INPEXの上田隆之社長は今月9日、東京都内で開いた長期戦略や3カ年の新たな中期経営計画の発表記者会見で言葉に力を込めた。

脱炭素5分野は、「水素・アンモニア」、「再生エネ」のほかに、石油・天然ガス分野で分離・貯留したCO2を利用する「CCUS」、CO2を炭素資源と捉えて回収し、多様な炭素化合物として再利用する「カーボンリサイクル」、「森林保全によるCO2の吸収」で、それぞれ商業化を進める。

企業が本来の営業活動から得た金額である「営業キャッシュフロー」は、現状ではほとんどを本業の石油・天然ガス分野が生み出しているが、12年時点では脱炭素5分野で1割程度を稼ぐことを目指す。

INPEXは、原油価格を1バレル=60~70ドルとした場合、営業キャッシュフローは12年までの約9年間で総額5兆~6兆円程度と想定。この中から、有利子負債の返済や株主還元を実施した上で、残りの3兆8000億~4兆4000億円程度を成長投資に振り向ける。成長投資のうち、脱炭素5分野への投資は7000億~1兆円程度を見込んでいる。脱炭素5分野での投資額の内訳は設けていないとしている。

化石燃料である石油・天然ガス分野では「徹底したクリーン化を行っていく」(上田氏)としており、12年ごろの温室効果ガス排出量を元年比で30%以上減らす。ただ、天然ガスには将来的にも一定の需要があるとみており、足元で石油とほぼ同等となっている天然ガスへの投資比率を7割程度に高める方針だ。また、液化天然ガス(LNG)の売買を手掛ける「トレーディング」機能も強化する。

経営資源を集中させる中核エリアも、脱炭素5分野への投資強化の方針を踏まえ、従来の豪州、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、東南アジア、日本国内の4地域から、欧州を新たに加えて5地域とした。

世界的に脱炭素の潮流が進む中、化石燃料を手掛ける企業への風当たりは強まっている。INPEXは脱炭素につながる投資にも重点的に資金を配分することで、気候変動への対応に積極的な姿勢を打ち出す。

(森田晶宏、写真も)

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