参院選宮城で〝仁義〟なき自民公認争い 党籍なき桜井氏VS知名度なき石川氏

自民党の石川光次郎県議(左から2人目)の知名度アップを目指す党宮城県連の幹部ら=1月23日午後、宮城県柴田町(奥原慎平撮影)
自民党の石川光次郎県議(左から2人目)の知名度アップを目指す党宮城県連の幹部ら=1月23日午後、宮城県柴田町(奥原慎平撮影)

夏の参院選宮城選挙区(改選数1)をめぐり、自民党の公認候補に石川光次郎県議と無所属の桜井充参院議員の2人が名乗りを上げている。党本部は4月の世論調査で、支持率が高い方を公認し、次点は3年後の参院選候補に回す方針を示し、21日午後に東京都内で2人と誓約書をかわす。党籍のない桜井氏に対する不満もくすぶるが、候補乱立を防ぎ、野党に議席を与えない〝苦肉の策〟だといえる。(奥原慎平)

「働いた人間が報われるのが真の組織ではないか。石川氏は組織のため、汗をかき、血を流してきた。石川氏を押し上げないと組織がおかしくなる」

1月23日、宮城県柴田町のスーパーの駐車場。党の街宣車上で遠藤隼人・県連青年局長は隣に並んだ石川氏の党候補としての正当性をこう訴えた。

石川氏は平成17年10月の県議選補選で仙台市宮城野区から初当選した。県連幹事長、県議会議長などを歴任したが、全県的な知名度に不安を残している。

県連は昨年12月25日の総務会で、石川氏を公認候補として党本部に申請する方針を決定。青年局は1月23日以降、各地で石川氏を伴った街宣活動を始めた。県選出の国会議員も石川氏と「2連ポスター」を貼り出し、支援者を前に石川氏に演説機会を提供している。

参院選まで半年。県連が石川氏のPRに〝フル稼働〟する理由は、桜井氏との「前哨戦」を4月に控えているからだ。

世論調査を4月に実施し、党公認を決める方針は茂木敏充幹事長が昨年12月17日、党本部で県連幹部らに示したものだという。茂木氏は鄧小平のせりふも引用し、「勝てる候補」を擁立する意義をこう強調した。「白い猫でも黒い猫でもネズミを獲るのが良い猫だ」-

桜井氏は平成10年参院選に初当選し現在4期目で、知名度は石川氏以上とされる。ただ、旧民進党候補として戦った経緯から、自民党県連に遠心力を働かせている。

桜井氏には当時の安倍晋三政権への批判を繰り広げた過去もある。例えば、平成29年7月の参院予算委員会で「加計学園」問題をめぐり、答弁を求めた安倍氏ではなく山本幸三・地方創生担当相(当時)が答えたことに激高し、「時間の無駄だから出てくるなよ」と罵声を浴びせた。

「桜井氏は『そんなに批判したかな』というが、言われた方は覚えているもんだ。そもそも、量の面でいっても、かなり批判していたんじゃないか」。県連幹部はこう苦笑する。

何よりも桜井氏は令和2年5月に自民党会派入りしたが、入党はまだだ。県選出の国会議員は「党籍のない人間をてんびんにかけるなど前代未聞だ」と述べ、党本部の方針は「筋が通らない」と疑問視した。県連関係者も「党籍のない人間を公認するなんて党則などにない。党本部には法的措置も考えたい」とまで反発しているという。

桜井氏の後ろ盾は参院実力者の世耕弘成参院幹事長とされるが、県連にとっては支えるのが難しい〝猫〟といえる。それでも「世論調査方式」を採る背景には候補者乱立を防ぐ狙いがある。石川氏が党公認を得ても、桜井氏は出馬を強行しかねず、非野党系の票が割れかねないからだ。

県連会長の西村明宏衆院議員は周囲に「福島と同じ状況になってはならない」と漏らす。隣の福島県では非野党系3候補が出馬の構えで、野党に漁夫の利を与えかねない状況だ。

茂木氏が世論調査の時期に4月を提示したのは、石川氏を担ぐ県連に奮起を促す思惑も透ける。

平成28年7月の参院選宮城選挙区は序盤、県連が党公認候補に選挙戦の仕切りを任せたといい、そのためか旧民進党候補だった桜井氏の圧勝ペースだったという。

党選対委員長の茂木氏が同席した同年5月の大型連休後の選対会議では、桜井氏に〝午後8時当確〟を許しかねない状況が報告された。この会議を契機に、県連が主導する方式に切り替えた。桜井氏に敗れたが、得票率を約4ポイントに差を縮めた。当時を知る県連重鎮はこう述べる。

「茂木氏は4月の調査時期を尋ねられても具体的に答えない。『5月の大型連休明けでは遅いだろう』とだけいうんだ。6年前の事情を覚えているのだろう」

対する立憲民主党は自民党が候補者を決める前の3月初旬にも公認候補を内定する予定だ。

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