書評

『忍者学研究』

忍者は実在したのか。いたとすれば、どんな存在だったのか。忍者の本場、三重県伊賀市に研究拠点を持つ三重大が5年前に開設した国際忍者研究センターでは、歴史を中心に理系を含む研究者が真面目に忍者や忍術を研究する。本書はその「忍者学」の案内書だ。

江戸時代の伊賀忍者は、特定の家筋に属する在郷の下級武士で、必要に応じて情報収集や警備活動を行っていた。さまざまな忍術も、合理的に説明可能なものも多そうだ。代表的な忍者道具のクナイを材料力学面から考察したり、秘伝書の火器を再現してみたりと、謎の多い忍者の実態に学問で迫る。(山田雄司編、三重大学国際忍者研究センター著/中央公論新社・1760円)

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