ウクライナ緊迫 親露派地域で砲撃応酬か 露軍はベラルーシ残留

【モスクワ=小野田雄一】ロシアの侵攻が懸念されるウクライナ情勢をめぐり、同国東部の一部を実効支配する親露派武装勢力とロシアは20日までに、ウクライナ軍の砲撃が支配地域や露南部に着弾したと主張、住民の避難が続いた。一方のウクライナは親露派の攻撃で兵士6人が死傷したとし、「親露派は偽情報でロシアを軍事介入させようとしている」と非難。事態は緊迫の度を増している。

タス通信によると、ウクライナに接するベラルーシ南部などで合同軍事演習「同盟の決意2022」を実施してきたロシアとベラルーシは20日、ウクライナ情勢の悪化を理由に、部隊の「点検」を続けると決定。露部隊がベラルーシに残留するとみられる。

合同演習は20日までの予定で、ロシアは当初、演習完了後に派遣部隊を国内に帰還させると説明。米欧側は、ロシアが演習後もウクライナ侵攻に備えて部隊をベラルーシに残留させる恐れがあると警戒していた。

フランスのマクロン大統領は同日、プーチン露大統領と電話会談。情勢悪化への懸念を伝えたもようだ。

タス通信によると、ウクライナ東部の親露派武装勢力「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」(ともに自称)は同日、ウクライナ軍の砲撃が複数の集落に着弾したと指摘。ウクライナ軍に民間人2人が殺害されたとも主張した。

またロシアは同日、親露派支配地域から避難住民4万人以上が露南部ロストフ州に到着したと発表。露治安機関「連邦保安局」(FSB)は19日、ウクライナ軍の砲弾2発がロストフ州に着弾したと主張した。

一方、ウクライナは19日、親露派の砲撃で兵士2人が死亡し、4人が負傷したと発表した。ウクライナ軍高官は声明で、親露派への攻撃を否定し、「親露派と露諜報機関がロシアを軍事介入させるために情報工作をしている」と述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領も同日、「ミュンヘン安全保障会議」の席上、親露派の主張を「完全な噓だ」と指摘した。

ウクライナ東部では同国の親露派政権が崩壊した2014年の政変を機に、ロシアを後ろ盾とする親露派勢力が蜂起。ウクライナ軍との戦闘でこれまでに双方で約1万4千人が死亡した。米欧側は、ロシアが親露派支配地域に住む自国民保護の名目で、ウクライナに侵攻する恐れがあるとみて警戒している。

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